かっこ株式会社のデータサイエンス事業部でインターンをしている長峯です。
今回は私がインターンの試用期間で課題として取り組んだ「単身で沖縄への移住におすすめのエリア」というテーマについてお話ししようと思います。
まず、背景について説明します。
目次
エンジニアの地方移住で注目の沖縄
今年(2020年)、コロナ禍で外出自粛要請が出されたこともあり、リモートワークが一気に広まりました。
実際、東京都の調査によると約6割がリモートワークを導入しているそうです。
弊社のインターンも今年から原則リモートワークで行われています。
そんな中、働く場所に囚われなくなったエンジニアが地方へ移住するケースが増えてきているそうです。
移住地の1つとして人気なのが沖縄で、エンジニアの沖縄への移住を支援するフェスなども開催されています。
IT業界のリモートワーク導入の流れは今後さらに加速し、このようなエンジニアの沖縄への移住はこれからより活発になると思います。
そこで
単身で沖縄へ移住するにはどのエリアがおすすめなのかデータ分析で明らかにしたい
と考えました。
今回は、電車利用中心エリア、車利用中心エリアとエリアを2つに分けて、築年数、部屋の床面積、駅からの所要時間、家賃、駐車場の有無の5つの観点から、それぞれおすすめの最寄り駅/市町村を分析しました。
使用したデータについて
今回、分析に使用したデータは物件情報サイトSUUMO九州・沖縄版からスクレイピングしてきました。
沖縄本島の物件を分析対象として、
取得日時は2020年9月30日13:00、得られた物件情報数は3486件でした。
取得した3486件の物件のうち、
駅までの徒歩での所要時間が30分以内のエリアを電車利用中心エリア(1546件)
駅までの徒歩での所要時間が30分を超えるエリアを車利用中心エリア(1940件)
と、この記事では定義しています。
電車利用中心エリアについてはおすすめの最寄り駅を、車利用中心エリアについてはおすすめの市町村を分析しました。
以下が今回使用したデータの項目です。
- 築年数
- 部屋の床面積
- 家賃
- 駅からの所要時間(電車利用中心エリア)
- 駐車場の有無(車利用中心エリア)
家賃は8万円がひとつの目安
沖縄の地理に詳しくない人も多いと思うので、沖縄の地図とモノレールの路線図を載せておきます。
分析結果より、以下の表のようにおすすめエリアを提案しました。
約8万円用意すると、ほとんどのエリアの半数以上が選択肢に入ることが分かりました。
電車利用中心エリアで、家賃が高くてもいい人は牧志駅などの国際通り付近のエリア、家賃を抑えたい人には首里駅、てだこ浦西駅などがおすすめですが、それぞれ築古が多い、駅からの所要時間が長いなどのデメリットがあります。
車利用中心エリアで、家賃が高くてもいい人は那覇市、浦添市などのモノレールが開通していて比較的那覇空港へのアクセスが良いエリア、家賃を抑えたい人には名護市などがおすすめですが、空港から遠いなどのデメリットがあります。
広くて築年数が浅い物件は、牧志駅付近に多い
次に、電車利用中心エリア、車利用中心エリアのそれぞれについて分析結果の詳細を見ていこうと思います。まず、電車利用中心エリアについて、分析結果の詳細を見ていきます。
以下に示す箱ひげ図は、下に行くにつれて那覇空港に近くなるように駅を配置しています。
築年数の箱ひげ図より、牧志駅などの国際通り付近のエリアや、2019年に開業された浦添市内の駅付近に築浅物件が多いことが分かります。
また、首里駅などの首里城付近のエリアは築古物件が多いことが分かりますが、こちらのエリアは首里城が近く、街の景観を守るために古い物件が多いのではないかと考えられます。
床面積の箱ひげ図より、牧志駅など国際通り付近のエリアや首里駅付近のエリアの物件の床面積が比較的大きいことが分かります。
また、赤嶺駅、奥武山公園駅など空港に近いエリアは、床面積が小さい物件が多いということがわかります。
電車利用中心 築年数
電車利用中心 床面積
駅までの所要時間は国際通り付近のエリアの物件が短いことが分かります。
また、赤嶺駅やてだこ浦西駅など路線の末端の駅の物件は、駅までの所要時間が比較的長くなっています。
電車利用中心 駅までの所要時間
家賃が安いエリアとしては赤嶺駅、首里駅、てだこ浦西駅
家賃は、国際通り付近のエリアが高いことが分かります。
繁華街で比較的築浅、床面積の大きい物件が多いことが高さの要因だと考えられます。
家賃が安いエリアとしては赤嶺駅、首里駅、てだこ浦西駅などがあります。
これらのエリアは駅からの所要時間が長かったり、築年数が古かったりする物件が多いことが安さの要因だと考えられます。
電車利用中心 家賃
これらの分析結果から、以下の表のようにおすすめエリアをまとめました。
車があれば、家賃が安い名護市、うるま市も視野に入る
次に、車利用中心エリアについて、分析結果の詳細を見ていきます。
以下に示す箱ひげ図は、北部、中部、南部と上から順に配置しています。
築年数の箱ひげ図より、那覇市や浦添市などの空港付近のエリアや、八重瀬町に築浅物件が多いことが分かります。また、リゾート地として知られる恩納村の物件は築古が多いことが分かります。
車利用中心 築年数
床面積の箱ひげ図より、八重瀬町や恩納村などの物件の床面積が比較的大きいことが分かります。
築年数と床面積の分析結果より、恩納村の物件は昔ながらの広い物件が多いと想像できます。
また、沖縄北部で最も人口の多い名護市は、床面積が小さい物件が多いということがわかります。
車利用中心 床面積
下の図は駐車場付き物件の割合を示しています。
沖縄は車社会なので、ほとんどの市町村で駐車場付き物件の割合が6割を超えています。
特に、北部地域の割合が高くなっていますが、北部地域は自然が多く、市街地まで距離があることが要因だと考えられます。
また、那覇市や浦添市など、市内にモノレールが走っているエリアでは、他のエリアに比べて駐車場付き物件の割合が低くなっていることが分かります。
車利用中心 駐車場
家賃は、那覇市や浦添市などの空港が近くモノレールが走っているエリアや、恩納村や八重瀬町などの床面積が大きい物件が多いエリアで高くなっています。
繁華街で比較的築浅、床面積の大きい物件が多いことが高さの要因だと考えられます。
家賃が安いエリアとしては名護市、うるま市などがあります。
これらのエリアは、空港まで遠かったり、床面積が小さい物件が多いことが安さの要因だと考えられます。
車利用中心 家賃
これらの分析結果から、以下の表のようにおすすめエリアをまとめました。
電車中心・車中心のライフスタイル別 物件傾向のまとめ
データ分析により条件別のおすすめエリアが分かりました。
また、地理的背景などを結び付けながら、今まではイメージでしかなかった、エリアごとの特徴も比較できるようになりました。
このように、経験や知識から判断していた課題も、データ分析の手法を用いると、客観性をもって解決することができます。データを活用して解決したい課題がありましたら、ぜひかっこのデータサイエンスまでご相談ください。
