組織

学生をデータサイエンティストに育てる4つのポイント

かっこのデータサイエンス部門で、部長を務めています成田です。
かっこのデータサイエンス部門は、インターンシップで採用した学生を戦力化し、彼らと共に成長してきた歴史があります。
6年前からはじめて、全社の勤務体制がフルリモート化した2021年1月現在、インターン生の在籍数は23名。
様々な大学や、大学院に在籍する、いろいろな国籍の学生と、これまで一緒に働いてきました。
一体、どのような観点で、学生を採用し、戦力化しているのか。
興味を持っていただいたり、ご質問いただく機会が増えてきたこともあり、データサイエンス部門の責任者として、かっこのインターンシップについて、お話ししようと思います。

インターンシップを積極化した背景

かっこのデータサイエンス部門で扱っている技術は、数学、統計学、機械学習(AI)と、それらを用いて分析したり、サービスに実装するためのプログラミング言語など、多岐に渡っています。

これらの技術をビジネスに活かして、成果を出せる人材を中途採用で集めようとしたとき、そもそも、市場には求める人材がそう多くいないことに気付きます。
実際に、お会いしてみても、ビジネスでどんなインパクトを残したのか、きちんと成果を説明できる方に、中々出逢えないことは大きな悩みです。

大企業に在籍していると、数年キャリアを積んだとしても、本当に限られた部分のデータを加工・分析する様な機会しか、与えられなかった、なんて話もよく聞きます。
これまで経験してきた環境、裁量、権限が異なる応募者の実績を面接で知っても、ひとりあたりの裁量と権限が比較的大きく、その分、結果を求められる、かっこで、思うように活躍してもらえるのか、イメージするのは、実に大変です。

採用コストは高騰している。
しかし、なんとか人材を確保しないと事業は、まわらない。
そこで、かっこでは、学生をインターンとして採用し、育てるところから始めようと、覚悟を決めました。

戦力化のための教育プログラム

もちろん、学生をインターンとして採用しても、すぐにビジネスプロジェクトで戦力化出来るわけではありません。
実務で活躍してもらうために、大きなデータを正しく扱って、自分の臨む分析や、処理にかけられるように、Pythonというプログラミング言語の使い方について、実践的に学んで戴く必要があります。
また、大規模なデータを取り扱うには、データベースに関する知識も必要です。
かっこでは、試用期間を設け、主に2種類の課題を提供し、取組む学生に助言し、進捗や、成果についてフィードバックすることで、ビジネスプロジェクトに入ったとき、他のメンバーと肩を並べて仕事が出来る準備を整えています。

オープンデータを用いた課題

ひとつはオープンデータを用いて、取り組む課題です。
これは、ひとりひとり、テーマ設定を指導役の社員と決めるところから始まります。
例えば、
他府県から入学してくる自分の大学の後輩のために、大学最寄り駅から通学60分圏内で、最も間取りが大きくて家賃が安い物件が、多く見つかる「駅」がどこか、賃貸情報サイトから取得したデータを集計・可視化して、プレゼンテーションしてください。
みたいな問題が出題されるイメージです。
実際に、どんな課題が出されて、苦労しながら、どんな風に取り組んだのか、試用期間生が、ブログ記事を書いてくれたものがあるので、貼っておきます。

>>【友達の初物件探しをデータ分析で手伝ってみた

大規模なデータと戦うためのSQL

もう一つの課題はSQLです。
これは、学生の多くにとってあまりなじみが無い、データベースのプログラム言語なのですが、かっこでは1億レコードを超えるデータ分析も、機会としては発生します。
最近あまり使われない言葉になりましたが、かっこは、ビッグデータを扱う企業です。
したがって、大規模なデータ分析で戦力化するうえで、SQLは必須の技術になっています。
ここでは、単に正しい答えを出すことだけがゴールには、なりません。
無駄なく美しいコードが書けているかや、チームの他のメンバーが、レビューする際に、親切なコメントが入っているかなど、チームで分析や開発をするうえで、生産性に貢献できるような、作法やテクニックについて指導されます。
多少、プログラミング経験があっても、多くの学生は、他人に見られることを意識してコードを書いたことがありません。
このような機会を通じて、チームに貢献する働き方を身に着けてもらう狙いがあります。

採用時に重視している観点

経験が浅くても、参加できるデータサイエンスのインターンシップとして、毎月、かっこは多くの応募を戴いています。
しかし、それなりに教育課程は厳しいものになりますし、かっこも、組織としてインターン生に対応できるキャパシティには限界があります。
本当に沢山の応募の中から、断腸の思いで、毎月1~3名を選考させてもらっています。
学生の皆さんは、全員がポテンシャルの塊なのですが、選考で特に、重視しているのは、データサイエンスに対する興味と、野心です。
この学生に、かっこが機会を提供したら、どうなるのだろう。
野心や夢に近づくのだろうか。いま、彼が抱えている課題は、解決できるだろうか。
そういう興味を掻き立てられる学生を、仲間として迎え入れたいと考えています。

学生インターン活用のメリット

このあたりで、経営視点で、かっこのデータサイエンス部門が、学生インターンを活用するメリットについても触れておこうと思います。

・ナチュラルボーンデータサイエンス環境で学んでいる

いまの大学や大学院の授業、研究は、大量データをコンピューターで処理する前提で行われています。
社会に出てから、IT技術を習得した中途の応募者より、データサイエンスを実践するうえでの基礎を整えやすいと思います。

・一緒にビジネスを創って一緒に成長できる存在

学生は、学習や、研究で得た知識の実践の場所を探しています。
成功体験が無い分、新しいことへの物怖じもありません。
最新の海外論文をサーベイすることも苦にしませんし、何より新規事業や、新しい価値を追求する仲間としては最高です。

・予算を立てやすい

自分の自由時間に、扶養家族から外れない範囲で、経験を積みたい学生がほとんどです。
結果として、最初からひとりあたりの年間の人件費に上限が生まれ、予算をコントロールしやすいメリットがあります。

・企業文化、社風との不一致リスクなく正社員登用

もし、一緒に働いていて仲間として迎えたければ、いちばん声をかけやすい距離にいます。

苦しい時も楽しい時も一緒に過ごした彼らが、入社したいと言ってくれた時、文化や社風とのアンマッチを心配する必要はありません。

こう並べて見ると、我ながら、インターンシップを取り入れない手はないですね。(笑)

インターンシップで重視している4つのポイント

いろいろお話ししましたが、まとめとして、ノウハウ的なところ。
これまでインターンシップのプログラムを6年ほどやってきて、大事にしているポイントを4点披露して締めくくることにします。

・教育を充実させ、能力を「可視化」して評価すること

将来、データサイエンティストになることを夢見ている学生の皆さんは、就活を前にして、自分の実力に自信を持ちたいと考えています。
きちんと教育して、身についた知識や経験は評価して、可視化してあげることを大切にしています。
かっこでは、70項目あまりの評価シートと、面談で、3か月に1度、実力についてフィードバックするようにしています。

・ビジネス課題を理解してもらい、大胆に任せること

経験は無くても、学生の好奇心は旺盛です。
お客様は、どんな経営課題を解決したいのか、徹底的に理解してもらい、方針の立案から成果物の作成、サービス開発に至るまで関与してもらいます。
かっこのデータサイエンスサービスは、年商で50億円から1500億円規模のお客様が多いのですが、事業が異なればデータにも方言があります。データの内容や、使われている言葉まで、お客様と同じ程度に理解できていないと、単に、計算結果だけ出しても有意義にそれを説明したり、活用の提案をすることまではできません。
人手がかかる部分を手伝ってもらうだけでなく、得られた知識を基に、大胆に任せることで、成果に対して、やり甲斐を感じてもらうことが重要です。

・立場の違いを意識せず、仲間として接すること

ある技術に限定すれば、社員のだれよりも抜きんでて得意な学生が、普通に集まってきます。
立場がどうであれ、同じ技術者として接し、実力に対してリスペクトされる環境を作っています。
良くも悪くも学生扱いされない環境は、プロフェッショナルな意識をポジティヴに生み出していると思っています。

・お客様との会議で、説明の機会を与えること

会議の相手が、顧客企業の経営層になることも多いのが、データサイエンス分野の醍醐味です。
自分の出した計算結果が、経営判断に使われる様を目の当たりにすると、みんな目の色が変わります。
単なる計算結果が生き物のように感じられる瞬間です。
かっこでは、インターンシップを通じて、「ビジネスに貢献した!」と実感してもらえるような機会をこれからも、どんどん作っていきたいと思っています。

最後に、かっこのインターン生の体験記をリンクしておきます。
学生の皆さんの生の声として、インターンシップが、どんな経験を提供できたのか、知っていただくことが出来るコンテンツになっていると思います。

かっこのデータサイエンス部門では、データサイエンスに野心を持った学生の皆さんと、これからも、たくさん出逢えることを楽しみにしています。

かっこのインターン

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