「KPIの設定方法って?」
「なぜKPIを設定したほうがいいの?」
と、気になりますよね。
KPIは、最終目標を達成するために必要なプロセスを数値で表した指標です。
KPIを設定することで、最終目標までの道筋が立てやすくなり、部署や個人ごとの達成度合いが明確になります。
この記事ではさらに詳しく、
- KPIの設定方法
- KPI設定が必要な理由4つ
- KPIを設定する際に気をつけたい3つのポイント
についてお伝えしていきます。ぜひ参考にしてみてください。
KPIとは
KPIとは、「Key Performance Indicator(キー・パフォーマンス・インジケーター)」の略で、「重要業績評価指標」や「重要達成度指標」と訳されます。
KPI=最終目標ではなく、最終目標を達成するために必要な業務の進行度を測る指標です。
KPIを用いて各プロセスの達成状況を明確にすることで、目標達成のために改善すべき部分を特定しやすくなり、業務内容の見直しなどに素早く対応できます。
「KPI」と「KGI」「KSF(CSF)」の違い
先ほどお伝えしたとおり、KPIは最終目標達成に向けての各プロセスの進捗状況を把握する指標です。
ここでは、KPIとよく認識を間違えてしまうKGI・KSF(CSF)についても解説していきます。
「KPI」と「KGI」の違い
KGIとは「Key Goal Indicator(キー・ゴール・インジケーター)」の略で、「重要目標達成指標」や「経営目標達成指標」と訳されます。
KGIは、企業や組織で最終目標の達成度合いを測る際に使います。KPIとは言葉が似ていますが、指標が異なるので注意してください。
KGIを設定して最終目標を具体的に数値化することで、社員全員の認識と足並みが揃い、目標達成に向けて動けるようになります。
「KPI」と「KSF(CSF)」の違い
KSF(CSF)とは、「Key Success Factor(キー・サクセス・ファクター)」または「Critical Success Factor(クリティカル・サクセス・ファクター)」の略で、どちらも「重要成功要因」と訳されます。
KSFには、外部環境要因と内部環境要因の2種類が存在し、外部環境(市場の動向)と内部環境(自社の特徴)をそれぞれ分析することで、事業失敗を回避しやすくなります。
KGIの達成を確実にするためにも、KSFをしっかりと分析して事業計画を立てることが大切です。
KGIが最終目標、KSFが最終目標達成のために必要な要因、そしてKPIはプロセスの進捗を管理するための中間指標です。
各指標の使い方の例
KGIが「売上高10%アップ」のときを例にしてみましょう。
「売上高10%アップ」を実現させるKSFとして、「ECサイトの売上アップ」「客単価アップ」などの施策が必要です。
「ECサイトの売上アップ」を実現するために必要な「1ヶ月間のサイト訪問者数を100人にする」「1ヶ月間のカゴ落ち率を60%にする」などの具体的な指標が、今回のKPIです。
- KGI:売上高10%アップ
- KSF:売上高を10%アップさせるためにECサイトの売上を増やす etc.
- KPI:ECサイトの売上を増やすために1ヶ月間のサイト訪問者数を100人にする etc.
このように、KGI・KSF・KPIとどれもアルファベット3文字で表しますが、それぞれの意味が異なるので混同しないようにしましょう。
KPIの設定はなぜ必要?その理由4つ
最終目標を達成するための中間指標となるKPIを設定しないと、現在の進捗状況が可視化されず改善点が見えてこないため、最終目標達成から遠のく可能性が出てきます。
KGI(最終目標)だけ設定してゴールに至るまでの具体的なプロセスや指標を定めずにいると、組織内の混乱を招くおそれもあります。
他にも、KPIを設定したほうがいい理由として、
- 【理由1】目標を明確にするため
- 【理由2】社員のモチベーションが向上するため
- 【理由3】評価基準を統一するため
- 【理由4】PDCAサイクルを円滑に回すため
の4つが挙げられるので、順に解説していきます。
【理由1】目標を明確にするため
KPIを設定することで、組織内の人間が「KGI達成のためにどれだけの成果が必要なのか」「自分は今、何をすべきか」を把握できるようになります。
具体的な指標があることで、より効率的に業務を進められるようになるだけでなく、目標達成に向けて今の業務スピードが適切かどうかなどの改善点も可視化することができます。
また、仮に全てのKPIが達成できなかったとしても「新規顧客数20人獲得のKPIは達成できたが、リピート率80%のKPIが達成できなかったのはなぜか?」などの課題も把握できるので、次に繋がる分析や改善を数値に基づいて行えます。
【理由2】社員のモチベーションが向上するため
KPIを設定して目標達成までのプロセスが明確化され、社員1人1人が自分は何をすればよいか理解できると、モチベーションの向上にも繋がります。
自分の業務がどの程度影響を及ぼしているのかわからない状況よりも、自分の担当業務が目標達成にどのぐらい結びついているのか明確なほうが、社員それぞれが業務にやりがいを感じられるでしょう。
あらかじめKPIを共有しておくことで、組織全体が目指す方向も明確になり、プロセスの途中で問題が発生した場合でも協力して解決できるので結束力が高まります。
【理由3】評価基準を統一するため
KPIは、目標の達成度合いを具体的な数値で表すため、組織内の評価基準が統一され数値に基づいた公平な評価ができるようになります。
例えば、「営業部員の月の売上が100万円」と設定されていた場合、それぞれの売上金額を見れば達成したかどうかが簡単に明らかになります。
未達成の場合でも、訪問数や成約率もKPIとして数値で設定していれば、達成できなかった原因がどこにあるのかもわかります。
また、評価する際の曖昧さが減るため、人事評価する側の負担を軽減できるメリットもあります。
【理由4】PDCAサイクルを円滑に回すため
適切にKPIを設定して目標までの進捗状況を数値で把握しながら改善していくことで、PDCAを素早く回して業務効率化を図ることも可能です。
KPIを設定すると目標達成までの道のりが明確になるので、現状では目標達成が難しいとわかった時点ですぐに軌道修正ができます。
反対に、KPIが設定されていない場合、目標達成に必要な改善点や課題の把握ができず、業務が滞ってしまうおそれがあります。
このように、KPIを設定することでいくつものメリットが得られ、最終目標の達成に向かってよりスムーズに業務をこなせるようになります。
KPIの設定方法を4つの手順で解説
ここまでは、KPIがプロセスの進捗を管理するための中間指標であることを解説してきました。
この章では、KPIの基本的な設定方法を解説していきます。
KPIの設定方法と言っても、初めからKPIについて考えるのではなく、KGI→KSF→KPIの順に設定するので注意しましょう。
- 【手順1】KGIを設定する
- 【手順2】KGI達成のために必要なKSFを洗い出す
- 【手順3】KSFを基にKPIを設定する
- 【手順4】KPI達成に必要なアクションを考える
正しい方法で設定しなければ効果がありませんので、ぜひ参考にしてください。
【手順1】KGIを設定する
まず初めに、最終目標であるKGIを具体的な数値で設定します。
KPIはゴールに至るまでのプロセスなので、ゴールとなるKGIを先に設定しなければKPI自体の設定もできません。
KGIは経営層や組織の上層部が設定することが多いですが、組織内でKGIを共有して全員がその内容をしっかりと認識してから次の手順に進みましょう。
【手順2】KGI達成のために必要なKSFを洗い出す
次に、設定したKGIを細かく分解し、最終目標達成に必要なプロセスを具体的に洗い出してKSFとして設定します。
目標を達成するためには複数のプロセスが必要ですが、KSFはその中でも重要で価値のあるものを絞り込んで設定します。
KSF設定が難しい場合は、洗い出したKSFそれぞれの重要度を外部環境要因と内部環境要因の両方の観点から評価して、本当に必要かどうか判断するといいでしょう。
【手順3】KSFを基にKPIを設定する
KSFの設定が完了したら、その内容を踏まえてKPIを設定します。
KPIは行動の指針となるので、できる限り具体的な数値で設定することが大切です。
例えば、KGIを「年間売上1,200万円」、KSFを「顧客単価を上げる」と設定した場合、KGI達成のため月に100万円の売上を立てる必要があるので、いくら顧客単価を上げれば月間売上が100万円に達成するのかを割り出してKPIを決定します。
以下のSMARTの法則を用いて5つの要素を満たしたKPIを意識すると、適したKPIを設定できるでしょう。
- Specific(具体的な):目標が具体的で明確であること
- Measurable(計測可能な):目標の達成度合いを数値で測定できること
- Achievable(達成可能な):目標が現実的に達成できること
- Relevant(関連した):KGIと関連した目標であること
- Time-bounded(期限を定めた):目標に期限が設定されていること
SMARTの法則については、『KPIを設定する際に気をつけたいこと3つ』の章で解説します。
【手順4】KPI達成に必要なアクションを考える
次に、KPIで設定した数値を達成するために具体的にどのような行動をとるべきか計画を立てましょう。
重複しているKPIがないかを確認し、KPIの優先順位を定めてから実行に移すとスムーズに目標達成への取り組みを行えます。
ただし、KPIはあくまでも中間指標なので、KPIの数値達成だけに執着して本来の目的(KGI達成)を見失わないよう注意しましょう。
KPIは、1度設定して終わりではありません。
定期的にKGI達成までのプロセスをチェックし、業務内容の見直しや軌道修正を忘れずに行ってください。
KPI設定方法の具体例3つ
KPIを設定することで無駄な業務が減り、効率的に作業ができるようになるため、幅広い業種や職種で活用されています。
ただ、業種ごとにKPIに設定すべき指標が定められているわけではないので、「どんな指標をKPIにすればいいかわからない」とお悩みの方もいるかもしれません。
ここでは、よく使われるKPIの例を職種や業種ごとに紹介します。
- 営業のKPI
- マーケティングのKPI
- 製造業のKPI
あなたの業務内容に適切なKPIがあれば、ぜひ参考にしてみてください。
営業のKPI
営業部門でKPIを使用すると、社員1人1人の成績が可視化され、自分の営業活動の精度や効率などを客観的に把握することが可能です。
インサイドセールス部署の場合は、見込み顧客の獲得のために「アポ数」や「商談数」をKPIに設定するといいでしょう。
営業のKPIとしては、以下のような指標がよく使われています。
- 訪問アポイント件数
- 新規顧客獲得人数
- 商談数
- 受注率
- 受注単価
- 架電数
- メール開封率
マーケティングのKPI
基本的にマーケティングは同時に複数の施策を行っていることが多く、オフラインでの施策とWeb上での施策それぞれに対して適切なKPIを設定することが大切です。
ECサイトの売上アップを目指す場合は、「訪問者数」「カートへ入れた数」「購入完了数」をKPIとして設定するのがいいでしょう。
マーケティングのKPIとしては、以下のような指標がよく使われています。
- 新規顧客獲得人数
- 参加者数
- アンケート回答数
- 顧客満足度
- バナーのクリック率
- SNSのインプレッション数
- SNSのフォロワー数
製造業のKPI
製造業でKPIを設定すると、効率的な生産体制や品質の維持、現場の安全性の実現に繋がります。
例えば、生産効率を高めるために「総合設備効率」や「稼働率」「不良率」をKPIとして設定することが有効です。
製造業のKPIとしては、以下のような指標がよく使われています。
- 労働生産性
- 総合設備効率
- 稼働率
- 不良率
- 事故発生件数
- 品質率
- 廃棄率
どのような業種や職種でも、達成すべき目標をしっかりと細分化して具体的な数値に表すことが、KPIを活用するポイントになります。
KPIを用いたコールセンター運営のデータ分析については『コールセンター運営でやるべきデータ分析とは?3つのメリットと分析方法を徹底解説』の記事をご参照ください。
KPIを設定する際に気をつけたいこと3つ
具体的な数値のKPIを設定しても、KGI達成に向けてうまく活用できていないと悩む企業は少なくないようです。
うまくKPIを活用できない原因として、設定したKPIそのものに問題があることが多いです。
そうならないためにも、KPIを設定する際に注意したいポイントを3つ紹介します。
- KPIは多く設定しすぎない
- 実現できる数値を目標にする
- フレームワークを活用する
順に見ていきましょう。
KPIは多く設定しすぎない
KPIの数が多すぎると、部署や個人のリソースが分散されKPIの達成に時間がかかったり、KGIとKPIの関連性が薄くなったりしてしまいます。
1つのKGIにつき、KPIの数は基本的に1~5個程度が理想とされているので、KPIの優先順位をしっかりと把握して数を絞り込むことが大切です。
KPIの頭文字でもある「鍵(Key)」となる要素だけでシンプルな指標体系を作ることで、組織全体が目標達成に向けて集中しやすくなります。
実現できる数値を目標にする
KGIを達成するためにはKPIの達成が不可欠なので、KPIは実現可能な数値でなくてはいけません。
曖昧な目標や達成できないほど高い目標は、モチベーションを下げる原因になる可能性があるので避けてください。
また、「顧客満足度の向上」や「ブランドイメージを浸透させる」といった目標は達成率を数値化しにくくKPIには適していないので、「月間新規契約を5件獲得する」や「月間受注率5%アップ」など、具体的な数値で表せるKPIを設定しましょう。
どうしても数値化するのが難しい目標に関しては、以下の2つのような対応がおすすめです。
1.その目標が達成されることによってどのような変化が生じるか考える
例えば、「顧客満足度の向上」というKPIを設定したい場合、顧客満足度を向上させることでどのような結果が得られるのかを考えてみましょう。
顧客満足度を向上させてリピート率を上げたい場合は、「リピート率10%アップ」とKPIを設定することが可能です。
2.アンケートなどで第三者の意見を参考にする
KPIを数値化しにくい場合は、第三者からの評価を軸に考えてみましょう。
先ほどの例と同じく「顧客満足度の向上」がKPIの場合、顧客アンケートでサービスや商品の品質について10段階で評価してもらうことで、目には見えない顧客満足度という指標を数値化できます。
フレームワークを活用する
上で挙げた「多すぎるKPI」「曖昧なKPI」「実現不可能なKPI」を設定しないためにも、KPI設定の際はフレームワークの活用がおすすめです。
フレームワークとは、経営戦略や目標達成などに役立つ思考の枠組みのことで、さまざまなビジネスシーンで採用されています。
KPI設定に役立つフレームワークの中から、今回は3つ紹介していきます。
【SMARTの法則】
『KPIの設定方法を4つの手順で解説』の章でも紹介したSMARTの法則は、目標を達成するための定番な手法の1つで、多くの企業で採用されているフレームワークです。
以下の5つの単語の頭文字から付けられた名前で、KPIの設定に重要な5つの要素から成り立っています。
- Specific(具体的な):目標が具体的で明確であること
- Measurable(計測可能な):目標の達成度合いを数値で測定できること
- Achievable(達成可能な):目標が現実的に達成できること
- Relevant(関連した):KGIと関連した目標であること
- Time-bounded(期限を定めた):目標に期限が設定されていること
SMARTの法則を意識しながらKPIを考えることで、「明確な目標・数値で測定できる目標・達成可能な目標・KGIと関連した目標・期限のある目標」と全ての要素を満たした指標を設定できます。
【ベーシック法】
ベーシック法は、名前のとおり基礎的な目標設定方法で、以下の4ステップで構成されています。
- 目標項目:何を達成するのか
- 達成項目:何をもって目標を達成したとするのか
- 期限設定:いつまでに達成するのか
- 達成計画:どのようなプロセスで目標を達成するのか
設定内容とステップが簡潔なので、初めてのKPI設定におすすめのフレームワークです。
【HARDゴール】
HARDゴールは、比較的新しいフレームワークで、SMARTの法則よりも感情に結びついた考え方が特徴です。
HARDゴールは、以下の4つの単語の頭文字から名付けられています。
- Heartfelt(心からの):心の底から達成したいと思う目標(KGI)
- Animated(活気がある):目標達成後の活気ある未来
- Required(必要な):目標達成のために必要なスキルや能力
- Difficult(困難):困難でやりがいのある指標(KPI)
HARDゴールを使って目標を設定する場合は、H→A→D→Rの順に設定していきます。
目標達成の過程で経験するかもしれない困難をあらかじめ考慮に入れることで、つらい局面でも目標達成に向けて諦めずに進み続けることができるでしょう。
まとめ
今回は、KPI・KGI・KSF(CSF)のそれぞれの意味と、KPIの設定手順などを解説しました。
KPIは、最終目標を達成するために必要なプロセスを数値で表した指標です。
KPIを用いて進捗状況を数値化することで、現在の達成度が明確になり、必要な改善点などが見つけやすくなります。
- 【KPIの手順1】KGIを設定する
- 【KPIの手順2】KGI達成のために必要なKSFを洗い出す
- 【KPIの手順3】KSFを基にKPIを設定する
- 【KPIの手順4】KPI達成に必要なアクションを考える
このように、KGIの達成に必要なプロセスを洗い出すことでKPIは設定できます。
KPIの設定時には以下の3つのポイントを意識して、適切に目標を管理しましょう。
- KPIは多く設定しすぎない
- 実現できる数値を目標にする
- フレームワークを活用する
KPIを正しく設定して目標達成への道のりが明確になると、社員のモチベーション向上に繋がるなどたくさんのメリットを得られます。
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