「背理法って何?」
「背理法って聞いたことあるけどなんだったっけ?」
と思ったことはありませんか。
背理法とは数学などで使用される証明方法の一種です。
高校数学の範囲として学校でも教えられており、背理法を用いた無理数の証明は頻出問題となっています。
このように、難しい、複雑そうといったイメージがある背理法ですが、考え方さえ理解すれば日常生活でも便利に活用することができます。
そこで、本記事では、
- 背理法の使い方
- 背理法の考え方が活かされている身近な場面
などを紹介します。
本堅苦しい数式は出てこない、背理法の考え方に注目した内容になっていますので、是非ご気軽に最後まで読んでみてください。
\経験豊富なかっこのデータサイエンティストがまとめました!/
目次
背理法とは
背理法とは、数学や論理学で使用される証明方法の一種です。
背理法では、証明したい内容の否定に矛盾が生じることを指摘することで、元の証明したい内容が正しいことを示します。
背理法の最大の特徴とは、矛盾を指摘するという間接的な考え方をしていることです。
背理法を使うメリット2つ
背理法は、証明したい内容の否定に矛盾が生じることを示す証明方法です。
これは一見遠回りに見える考え方ですが、このように間接的に考えているからこそ背理法には特有のメリットがあります。
背理法を用いるメリットとは以下の2つです。
- 直接証明するのが難しい問題を証明できる
- 直接証明するより早く証明できることがある
それぞれについて見ていきましょう。
直接証明するのが難しい問題を証明できる
背理法を用いるメリットの一つは、直接証明できない問題を証明できる場合があることです。
例えば、”Aは〇〇である”と証明したい場合、本来であれば、Aが〇〇であるという事実を直接示さなければなりません。
しかし、背理法を用いることで、”Aは〇〇でない”を否定するという新しいアプローチができるようになります。
そのため、直接の証明ができなくても背理法を使えば解決できる問題があります。
直接証明するより早く証明できることがある
また、背理法を用いるメリットとして、直接証明するより早く証明できる可能性があります。
先程と同じ、”Aは〇〇である”と証明したい場合を考えてみましょう。
証明したい内容にによっては、Aは〇〇であることの証明が非常に煩雑で、Aが〇〇でないことの証明は手短にできる場合があります。
また、Aは〇〇であることを証明する方法はわからないけれど、Aは〇〇でないことの証明方法ならすぐに分かる場合もあります。
このような時は、直接証明ができるとしても、敢えて背理法を選択することでより早く証明できる可能性が高いです。
背理法の使い方
では、背理法はどのように使っていけばよいのでしょうか。
背理法による証明は、ある程度話の流れが決まっているため、一度流れを覚えてしまえば様々な問題に応用することができます。
背理法の流れは次のようになっています。
また、この流れを各手順ごとに実際に行っている作業に分けると以下のようになっています。
- 仮説を立てる
- 仮説が誤りである証拠を探す
- 仮説の矛盾を指摘する
- 仮説が誤っていることを証明する
それでは、それぞれの手順で何をすればいいのか実例を用いて詳しく見ていきましょう。
【手順①】仮説を立てる
まずはじめに仮説を立てます。
この時、立てる仮説は必ず証明したい内容の否定になるようにしましょう。
例えば、”人間は動物である”ことを証明したい場合、立てる仮説は”人間は動物ではない”です。
【手順②】仮説が誤りである証拠を探す
次に、手順①で立てた仮説が間違っている証拠を探します。
仮説が誤りであると示す方法は沢山ありますが、その中の一つとして反例を見つけるという方法があります。
反例とは、立てた仮説に当てはまらない例や仮説を満たさない例のことです。
今回立てた仮説は”人間は動物ではない”なので、この反例を探してみましょう。
例えば、今回は、自由に動くことができる、食べ物を消化することでエネルギーを得る、葉緑素を持たない、等が反例として考えられます。
【手順③】仮説の矛盾を指摘する
続いて、仮説の矛盾を指摘して仮説が誤っていたことを示します。
今回は、手順②で考えた反例のうち”人間は自由に動くことができる”を使ってみます。
すると、「人間が動物でないという仮説は矛盾する。なぜなら、人間は自由に動くことができるからである」という主張が完成します。
【手順④】仮説が誤っていることを証明する
最後に、仮説が誤っていることを証明します。
仮説に矛盾が発生しているということは、その仮説が間違っているという証拠です。
今回の場合は、手順③の主張の後に「そのため、人間は動物である」と付け加え、人間が動物であることの証明を完成させることができます。
身近な場面で背理法が活躍しているのは?
背理法の使い方が分かったところで、続いて、背理法は日常のどのようなどのような場面で活用されているのか見てみましょう。
数学の証明問題で使うものというイメージが強い背理法ですが、実はもっと身近な場面でも活用することができます。
背理法が活躍している身近な例として、以下のような場面があります。
- ミステリー作品のストーリー
- 論理クイズを解く時
- 数独が行き詰った時
それぞれの場面でどのように背理法が用いられているのか見ていきましょう。
ミステリー作品のストーリー
ミステリー作品のストーリーは、身近な場面で背理法の考え方が活躍するシーンです。
例えば、名探偵コナンなどのミステリー作品の推理シーンでは、容疑者Aは怪しいけれどアリバイがあるから犯人ではないという展開がよくあります。
これは、”容疑者Aは犯人ではない”という命題に対して、”容疑者Aが犯人である”という仮説を立てて、背理法の考え方を用いて推理をしているのです。
論理クイズを解く時
また、背理法の考え方が活躍するシーンに論理クイズを解く時があります。
この場合の論理クイズとは、それぞれ証言を行っているA、B、Cの3人の中から1人だけいる正直者を探す、といった定番の問題です。
このようなクイズの証明は、1人ずつ順番に正直者だと仮定して考えることを全員分繰り返し、発言が破綻しなかったのは誰を正直者と仮定した時かを調べるのが一般的です。
しかし、背理法を活用すれば全員分を確認しなくても証明が成り立つ場合があり、背理法の考え方を活用することで試行回数を減らして時間短縮ができます。
数独が行き詰った時
さらに、数独を解く時にも背理法の考え方を活用することができます。
数独での背理法とは、埋められるマスがなくなった時に数字の候補が2つのマスにどちらかの数字を入れてみて解き進めることです。
こうすることで、解き進めて矛盾が見つかったらこのマスに選ばなかった方の数字を確定させることができます。
スマートな解法とは言い難いですが、手詰まりになってしまった時の解決策としては非常に有効です。
背理法は何かを証明する時の有効法
このように、背理法は数学の問題だけではなく、日常的な場面でも活用可能だということが分かりました。
そこで、次は背理法が日常のどのような問題に対して効果を発揮するのかを説明します。
背理法が特に活躍するのは、直接証明するのが難しい内容を証明したい時です。
直接証明するのが難しい時とは、具体的に以下の内容を証明したい時になります。
- 〇〇であることを証明する時
- 〇〇ではないことを証明する時
順番に詳しく解説します。
例1.〇〇であることを証明する時
日常生活で〇〇であることを証明したい場合、背理法の考え方が有効です。
背理法は、否定の仮説の矛盾を突く性質上、何かが〇〇であるか、そうでないかという二択の問題を証明する場合に特に効果を発揮します。
三択以上の問題の場合も、間違った選択肢を一つずつ否定していけば、最後には必ず証明することができます。
例2.〇〇ではないことを証明する時
反対に、〇〇ではないことを証明したい場合にも背理法の考え方が有効です。
背理法は、否定の仮説の矛盾を突く性質上、何かが〇〇であるか、そうでないかという二択の問題を証明する場合に特に効果を発揮します。
”ない”ことの証明は悪魔の証明とも呼ばれる非常に難しい問題です。
背理法を用いて論点を〇〇であることに変換すれば、上手く解決できる可能性があります。
まとめ
本記事では、背理法が示したい内容の否定に矛盾が生じることを指摘して証明する間接的な証明方法であることを説明しました。
また、日常生活においても背理法の考え方は役に立ち、
- 〇〇であることを証明する時
- 〇〇ではないことを証明する時
のような直接証明するのが難しい時に使用すると特に効果を発揮することが分かりました。
なんとなく難しそうというイメージだけで敬遠したりせず、背理法を上手に活かして様々な問題の解決に役立ててみてください。