データ分析において、変数1つ1つの特徴や、変数間の関係性、現状の把握をすることは非常に重要です。
(データ分析対象のデータ項目のことを”変数”と言います。詳しくは、こちらの記事を御覧ください。)
ビジネスシーンにおけるデータ分析とはメチャクチャシンプルに言えば、企業に蓄積されたデータを用いて
なんで利益が上がったのか/下がったのか
を明らかにし、明らかになったことを次の企業活動に活かしていくプロセスのことです。
なんで利益が上がった(下がった)のかについて、”利益”という変数のみを見てウンウン唸っていてもわかることは限られています。
大事なのは、他の変数と”利益”がどのような関係性になっているかを丁寧に可視化し、現状を把握することで、特に利益に影響を与えていそうな要因を特定していくことです。
そのためにも、変数自体の特徴や、変数間の関係性、現状を可視化し、把握することは重要で、データ分析には欠かすことのできない工程になります。
そこで本記事では、変数の特徴や、変数間の関係性を把握するために利用する図表・グラフと、その解説をしている本ブログ内の記事をまとめてみました。
なお、本記事では「量的変数」や「質的変数」という言葉を用いていますが、その言葉の意味については、こちらの記事(変数解説記事)で解説しています。まずはこちらをご覧いただいてから本記事を読むとわかりやすいと思います。
それでは、まいりましょう!
目次
変数単独で特徴を把握するときは、「単純集計表」 or 「度数分布表・ヒストグラム」
まず、変数単独で特徴を把握するときに用いる図表です。
その変数が、質的変数であれば「単純集計表」を用います。
(参考記事:こんなにも使える、単純集計とクロス集計の活用法)
単純集計表の例:
量的変数であれば、「度数分布表」あるいは「ヒストグラム」を用います。
(参考記事: 度数分布表から、データの傾向を把握しよう
ヒストグラムの例:
単独の変数からも、こういった図表を駆使して、データの偏りやばらつき、ボリュームゾーンを把握することができます。
以降は、2つの変数同士の関係性を把握するために活用できる図表についてです。
2つの量的変数の関係性は「散布図」で把握
2つの変数が共に量的変数の場合、「散布図」を用いることで2つの変数の関係性が明らかになります。
(参考記事:データの関係性がパッと見でわかる「散布図」)
散布図の例:
利益と売上の関係性、利益とコスト関係性、予測と実績の関係性ナドナド、企業に蓄積されたデータについて、散布図を用いて可視化することで、より深ぼった分析を行いたいテーマが見えてくることもよくあります。
量的変数と質的変数の関連性可視化には「箱ひげ図」
2つの変数のうち、片方が質的変数で、もう片方が量的変数の場合、「箱ひげ図」を用います。
(参考記事:箱ひげ図 について超カンタンに解説してみた)
箱ひげ図の例:
「自社の売上TOP30に入る取引先別受注金額について、1件1件の受注金額にどの程度のばらつきや偏りがあるかを可視化したい」というときなどは、「箱ひげ図」を用いて可視化しましょう。
「クロス集計表」で質的変数同士の現状や関係性がわかる
2つの変数が共に質的変数の場合、「クロス集計表」を用いて関係性を明らかにします。
(参考記事: こんなにも使える、単純集計とクロス集計の活用法
利益爆増のためのアクションを発見!「カイ二乗検定」の可能性とは)
クロス集計表の例:
自社の会員顧客について、「ある商品を購入した/しなかった人」と「その商品の割引クーポンを使った人/使わなかった人」との関係を見たいときなどは、クロス集計表を用いることになります。
他にも、現状を数値の表で把握したいときなどにも、クロス表はよく用いられます。
複数の図表を駆使しながらデータ分析をすすめる
ここまで、データ分析でよく活用する図表について紹介してきました。これらの図表に加え、時系列の推移がわかる線グラフ・棒グラフなどがあればデータ分析に必要十分な図表が揃います。
これらはどれも基本的なものですが、タイミングよく使いこなせばその効果は絶大なものです。
例えば、このようなイメージです。
とあるBtoBの製造業について、期中の実績が予算を達成していない状況を仮定します。
まず年月別の売上と利益の散布図と、売上の予実の散布図を確認して、思ったような見込み通りの利益が上げられなかった月を特定します。
該当月について、取引先別の1件あたりの受注金額他の月の結果と合わせて箱ひげ図で確認します。
見込みを大きく下回った取引先について、年月別、品目別に受注金額のクロス集計表を作り、どの品目の売上が悪かったのかを把握します。
ここまでをデータから把握できれば、該当する取引先担当の営業マンに、なんでこの月、この品目の注文が少なかったかを確認してもらうことができます。
その理由が、あくまで一時的な理由であれば、「別の部分でショットの売上をあげることで遅れを取り戻す」ようにすればいいだけですし、もしも恒常的な理由なのであれば見込みを達成させるための戦略を練り直すことになるでしょう。
このように、利益に関わるデータを丁寧に読み解くことで、ネクストアクションを起こすきっかけとなります。
それは、企業に蓄積されているデータに対し、変数の特性に留意しながら、複数の図表を駆使して丁寧に可視化し、変数間の関係性や現状を把握していくことで可能になります。
ただし、残念ながら何もかもがすべて1つでわかる、魔法のように万能な図表というものは存在しません。複数の図表を組み合わせ、駆使しながら分析していくことです。
まとめ
この記事では、データ分析を実施する上で欠かすことのできない図表・グラフについてまとめてみました。
かっこ株式会社では、本記事で紹介した図表をはじめとしたデータ分析のツールや手法を用いて、売上や利益の構造を誰もが把握できる状態に可視化し、課題を解決するために重要な「条件」や「指標」を明らかにする「さきがけKPI」というサービスを提供しています。
ぜひお気軽にご相談ください。