「データサイエンスってなに?」
「データサイエンスはどんなところで活用されているの?」
「データサイエンスで何ができるの?」
と気になりませんか。
データサイエンスとはデータから価値ある情報を発見して、適切な意思決定を行う学問のことです。
データサイエンスの技術は様々な場面で活用されており、あなたの身近なところでも活用されています。
本記事では、
- データサイエンスとは
- データサイエンスの身近な活用例
- データサイエンスでできること
などについて解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
目次
データサイエンスとは
データサイエンスとはデータから価値ある情報を発見し意思決定を行うプロセスの学問です。
ネット社会になってデータ活用が進み始めたことから、日常からビジネスまで様々な場面で活用され始めています。
データサイエンスは、統計学や機械学習(機械にデータを学習させて問題解決させる学問分野)などの要素から成り立っており、難しい用語も多く出てくるのです。
そのため、この記事ではまず「データサイエンスと以下の用語の違い」について説明していきます。
- データサイエンスと統計学の違い
- データサイエンスとAIの違い
- データサイエンスとビッグデータの違い
- データサイエンスとデータ分析の違い
結論、データサイエンスは以上に挙げた用語をすべて含んだ学問で下図のように表せます。
それぞれ解説していきます。
データサイエンスと統計学の違い
統計学はデータサイエンスの1分野であり、データに対してどうアプローチするかが違います。
統計学はデータの特徴を分かりやすく解釈する学問ですが、データサイエンスはデータから価値ある情報を見つけ出し、意思決定などを行うプロセスの学問です。
そのため、統計学はデータサイエンスの基本の解釈の学問であり、データサイエンスのプロセスの一部であると思いましょう。
データサイエンスとAIの違い
データサイエンスとAI(人工知能)の違いですが、AIもデータサイエンスの一部に含まれます。
AIは知能を真似して様々なタスクを自動化する技術ですが、データサイエンスはAI技術を活用してデータを分析して意思決定を行うプロセスの学問です。
AIはデータサイエンスにとって重要な技術ですが、統計学と同じようにデータサイエンスの一部だと考えてください。
データサイエンスとビッグデータの違い
データサイエンスとビッグデータはよく一緒に聞く言葉ですが、大きく異なります。
ビッグデータは膨大なデータそのもののことで、ビッグデータを活用するためのプロセスの学問がデータサイエンスです。
ビッグデータもデータサイエンスの技術を効果的に活用するために必要ですので、必ず用語として覚えておきましょう。
データサイエンスとデータ分析の違い
データサイエンスとデータ分析もよく同じものだと思われますが、違いがあります。
データ分析は与えられた問題を解決するために行うだけですが、データサイエンスはデータ分析の結果から意思決定までを支援するのです。
そのため、データサイエンスの広い概念であり、データ分析はデータサイエンスの一部になります。
それでは、以下からなぜデータサイエンスが注目されるようになったのかについて解説していきます。
データサイエンスが再度注目されるようになった背景
データサイエンスが再度注目されるようになったのは、時代の変化に伴い、データから価値ある情報を発見することが重要視されるようになったからです。
以前からも品質管理においてデータサイエンスの考え方は用いられていましたが、AIなどの用語と共に再度注目されるようになりました。
この章では、データサイエンスがなぜ再度注目されるようになった4つの背景を解説していきます。
- 社会全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が起こったから
- より簡単にデータを集めて保管できるようになった
- 大量のデータを分析できるコンピュータやツールが開発され続けているから
- 日本政府もデータサイエンスを推進しているから
それぞれの背景がなければ、データサイエンスがここまで注目される可能性は低かったでしょう。
それでは、それぞれの要因について深堀りしていきます。
社会全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が起こったから
データサイエンスが再度注目されるようになった大きな要因は、ITが浸透して社会的にDXが推進される流れが起こったからです。
DXとはデータやデジタル技術を活用してビジネスモデルや業務などを変革することであり、データサイエンスの技術の活用が不可欠になります。
DXが注目されるようになったことで、データを扱うプロセスの学問であるデータサイエンスの注目度も増していったのです。
より簡単にデータを集めて保管できるようになった
近年から、大量のデータをより集められ保管できるようになったこともデータサイエンスが再度注目された背景としてあります。
コロナ禍で非接触・非対面が推奨されたことによって、オンライン上のデータ量が増加していきました。
以下のグラフは「総務省|令和3年版 情報通信白書|電気通信の利用状況」から引用した画像で、データ量が増えたことを示しています。
※引用:総務省|令和3年版 情報通信白書|電気通信の利用状況
上図のように、コロナ禍を境目にデータの通信量が一気に変化していることが見て取れます。
また、データをクラウド上(ネット上)に簡単に保管できるようになったことも大きな要因です。
このように、データサイエンスの技術を活用するのに必要なデータが集められるようになったのが再度注目されるようになった理由になります。
大量のデータを分析できるコンピュータやツールが開発され続けているから
データ量が増えただけでなく膨大なデータを分析できるコンピュータやツールが開発されていることも、データサイエンスが再度注目されるようになった背景になります。
データサイエンスが注目される以前は画像や映像の分析が困難でしたが、コンピュータのスペックが上がったことで分析できるデータの量が一気に広がったのです。
他にも以下のようなことによって、大量のデータを分析できるようになりました。
- 革新的なデータ分析手法の発見
- データ分析を簡単にできるツールの開発
以上に挙げたもののように、データ分析の技術やツールが進化していることがデータサイエンスが再度注目されるようになった背景になります。
とはいえ、大量のデータを分析する技術は簡単ではないことに注意しておきましょう。
日本政府もデータサイエンスを推進しているから
日本政府も、データサイエンスの重要性を認識し、様々な取り組みに力を入れています。
日本政府が目指す社会に「Society 5.0」があり、その中でデータサイエンスは重要な役割を担っているからです。
例えば、政府は以下のようなことを行ってきました。
- 行政の電子化
- デジタル人材の育成 etc.
特に、デジタル人材の教育には力を入れており、高校の「情報Ⅱ」の授業でもデータサイエンスの教育が行われています。
※参考:Society 5.0 – 科学技術政策|内閣府
このように、様々な背景からデータサイエンスが再度注目されるようになりました。
それでは、どのような場面でデータサイエンスが活用されているのかについて以下で解説していきます。
データサイエンスが活用されている身近な例
データサイエンスの技術は、あなたの日常生活においても多くの場所で活用されているのです。
この章では、身近な例として6つ紹介します。
- SNSでのおすすめの推薦
- 交通渋滞の予測
- 最適なシフトの調整
- ホテルの宿泊値段の変動
- ChatGPTなどの生成系AI
- スポーツチームの運営
それぞれ解説していきます。
【身近な例1】SNSでのおすすめの推薦
データサイエンスの技術が活用されていて最も身近なのは、SNSのおすすめ欄です。
今や、多くの人がXやインスタグラムなどのSNSを利用していますが、どのサービスでもおすすめ欄があり、データサイエンスが活用されています。
SNSのおすすめはユーザによって異なり、以下のようなユーザの特徴からおすすめするコンテンツを選んでいるのです。
- 過去に「いいね」した投稿の内容やジャンル
- よく訪れるプロフィール
- フォローしているアカウント
- 閲覧時間が長い動画や画像 etc.
例えば、ネコが好きな人はネコの投稿をしているアカウントをフォローをして、動画などにいいねを押します。
すると、SNS側はネコが好きな人だと判断して、ネコの動画をするというアルゴリズムです。
挙げた特徴以外にも多くのデータを基に、SNSでは個人の好みに合わせたおすすめコンテンツを表示しています。
【身近な例2】交通渋滞の予測
交通渋滞の予測でもデータサイエンスが用いられています。
カーナビアプリで渋滞情報が更新されるとき、渋滞情報はデータサイエンスの技術によって予測されているのです。
例えば、以下のようなデータから予測を行っています。
- 定点カメラによるリアルタイム計測データ
- 過去の交通量のデータ
- 地域の人口データ etc.
以上のデータからデータサイエンスの技術を活用することで、渋滞の予測を行っているのです。
例えば、帰省をするタイミングは過去の交通量のデータから渋滞しやすいと導き出せます。
加えて、リアルタイムで映像を解析することで、渋滞状況をいち早く届けられるようになっているのです。
【身近な例3】最適なシフトの調整
アルバイトなどのシフト調整にも、データサイエンスの技術が活用されています。
シフト調整は考慮すべき要件も多いため、業務効率化のためにデータサイエンスの技術が用いられているのです。
例えば、ある飲食店なら以下のようなデータからシフトを調整します。
- 売上データに基づくピークタイムのデータ
- 従業員の希望勤務時間のデータ
- 従業員のスキルのデータ
- イベントや季節による需要の変動データ etc.
このように、データを基にしたシフト計画により、シフト計画の作成時間が大幅に短縮できるのです。
アルバイトのシフト調整だけでなく、コールセンターの人員配置などでもデータサイエンスの技術が活用されています。
「コールセンターでどうやって人員配置を最適にしているの?」と気になる方は『コールセンターの最適な人員配置は?予算内で成果を出すための方法3選』の記事をご参照ください。
【身近な例4】ホテルの宿泊値段の変動
ホテルの値段がイベント時かどうかによって変化するのも、データサイエンスの技術が活用されています。
年末年始やゴールデンウイークでホテルの値段が上がりますが、データサイエンスの技術で需要を予測することで金額を変えているのです。
具体的には、以下に挙げたデータなどから、需要を予測して値段を決定しています。
- 過去の予約データ
- 周辺地域のイベントの有無 etc.
これまでは人が感覚的に値段を変化させていましたが、データサイエンスの技術を用いればデータによって価格の改定を判断できるのです。
飛行機予約などでも用いられている価格決定の手法であり、「ダイナミックプライシング」と呼ばれています。
【身近な例5】ChatGPTなどの生成系AI
ChatGPTをはじめとする生成系AIにも、データサイエンスの技術が活用されています。
ChatGPTは大量のデータを学習し自然な会話や文章・画像を作り出しているAIであり、AIはデータサイエンスの一部です。
ChatGPTでは以下のようなことが行えます。
- 質問に対する適切な回答の生成
- 特定のテーマに沿った文章の作成
- 複数の言語でのコミュニケーションサポート etc.
しかし、以上のことはすべて、データの学習と分析によって実現されているのです。
【身近な例6】スポーツチームの運営
スポーツチームの運営でもデータサイエンスが活用されています。
なぜなら、選手のパフォーマンスデータや試合結果を分析して、戦略の策定や選手の育成を客観的に行えるからです。
以下のような決定にデータサイエンスの技術が用いられています。
- 試合の戦術の提案
- トレーニングメニューの決定
- 選手の起用計画
例えば、練習時の選手の動きをデータとして取っていれば、選手の調子を判断でき、調子が良い選手を効果的に起用できます。
このように、データサイエンスはスポーツの分野においても、戦略的な意思決定を支援しているのです。
それでは、実際にデータサイエンスの技術で何ができるのかについて解説していきます。
データサイエンスの技術を使ってできる4つのこと
データサイエンスの技術を用いることで、様々なデータから有益な情報を発見して、意思決定できます。
ここではデータサイエンスの技術を使ってできる4つのことを具体的に紹介します。
- データの比較
- データの要点の抽出
- データの分類
- データの予測
それぞれ詳しく解説していきます。
データの比較
データサイエンスの技術を使うことで、異なるデータを簡単に比較できます。
データサイエンスの技術を用いることで、ある2つのグループのデータを比較できるのです。
例えば、ある企業で販促キャンペーンを打ち出した時に、キャンペーンに効果があったのかどうかを比較できます。
上図のように、キャンペーンの前後の効果の比較や商品の比較などで、データサイエンスの技術を活用できるのです。
データの要点の抽出
大量のデータから重要な情報を見つけ出すこともデータサイエンスの技術を用いてできることです。
データサイエンスは統計学などデータを解釈することもプロセスの1つにあることから、データの要点・特徴を見つけ出せます。
例えば、以下のようなことに用いられます。
- 顧客のレビューから重要な意見の抽出
- SNSでのトレンドの発見 etc.
特に、SNSのトレンドが分かりやすい例であり、大量の投稿データからトレンドを発見しています。
上図のように、データから要点だけを抽出することが、データサイエンスの技術でできるの1つです。
データの分類
データサイエンスの技術には、データをカテゴリに分ける分類手法もあります。
データを分類したい場面は多くあり、クラスタリングなどの分類手法をもとにデータを分類できるのです。
例えば、以下のようなことにデータの分類が用いられます。
- 顧客を特徴ごとに分類
- 商品のレビューの感情分析
- ニュースのコメントの分類
- 不良品の検知
商品レビューで良い意見か悪い意見かを分類する場合は、下図のようなイメージを持つと良いでしょう。
レビューを分類するルールをあらかじめ作っておくことで、上図のように分類を行えます。
このように、良いか悪いか、不良品か不良品でないかなどの分類を行えるのです。
データの予測
過去のデータから未来を予測するデータの予測も、データサイエンスの技術として重要になります。
なぜなら、データの予測ができれば、ファッションの流行や季節の売れ筋商品を予測できるからです。
また、他にも以下のようなことにデータの予測の手法が用いられます。
- 来月の売上高の予測
- 新製品の市場反応の予測
- キャンペーン効果の予測
- 売上の予測 etc.
とはいえ、データの予測は容易ではないため、実際にはリスク管理の面で用いられることが多いです。
データの予測や需要予測について詳しく知りたい方は『需要予測とは?使える場面や予測の手法・注意点を徹底解説!』の記事をご参照ください。
以下では、データサイエンスの技術を活用することによるメリットを解説していきます。
データサイエンスの技術を活用する3つのメリット
先ほどの章でお伝えしましたが、データサイエンスの技術を活用することで様々なことができるのです。
この章では、データサイエンスの技術を活用することで得られる代表的なメリットを以下の3つ紹介します。
- ①より正確にデータ分析できる
- ②大量のデータ(ビッグデータ)を扱った分析ができる
- ③データに基づいた判断がしやすくなる
それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。
①より正確にデータ分析できる
データサイエンスを利用する最大のメリットの一つは、より正確にデータ分析できることです。
統計学だけの分析方法では見落としやすかったパターンや傾向も、データサイエンスの技術も活用することで正確に捉えやすくなりました。
『身近な例』で取り上げた中でも以下の例が、データサイエンスの技術を活用するメリットが分かりやすいです。
- 交通渋滞の予測
- ホテルの宿泊値段の変動
以上の例では、統計学以外にも様々な技術を利用することで、より正確なデータ分析を可能にしています。
なぜなら、集められている過去のデータから”正確に”予測する必要があり、統計学だけでは不十分なのです。
実際に、渋滞予測では様々なデータ分析手法を組み合わせて予測するためのモデル(ルール)を作成します。
上図のように様々な分析手法から予測を行うことで、予測精度を高めていけるのです。
そのため、データ分析の精度が上げられることがデータサイエンスの技術を活用するメリットになります。
②大量のデータ(ビッグデータ)を扱った分析ができる
データサイエンスの技術を用いることで、大量のデータ(ビッグデータ)を扱った分析ができることも大きなメリットになります。
ビッグデータは従来の分析手法では扱えませんでしたが、データサイエンスの技術を用いることで大量のデータから価値ある情報を発見できるようになったのです。
『身近な例』で取り上げた中でも、以下の2つの例が「大量のデータ(ビッグデータ)を扱った分析」が用いられています。
- SNSでのおすすめの推薦
- ChatGPTなどの生成系AI
ChatGPTなどの生成系AIでは、従来では考えられなかったような大量のデータを基に回答を行っています。
例えば、「ネコの特徴を教えて」とユーザが指示すると、事前に決められたモデル(ルール)に従って出力が作られているのです。
下図はChatGPTの入力に対する回答までの流れをとても簡単にしたものです。
簡単にできているように見えますが、内部では大量のデータを分析してルールに則って適切な回答を行っています。
しかし、ビッグデータを扱う分析は高度な技術が必要なので、簡単にできるわけではないことに注意しましょう。
③データに基づいた判断がしやすくなる
データサイエンスの技術を活用することによって、客観的な意思決定を支援できます。
データサイエンスはデータから価値ある情報を発見・問題解決を行うプロセスの学問であるため、意思決定の支援を効果的に行えるのです。
『身近な例』でも以下の2つの例で意思決定を支援しています。
- 最適なシフトの調整
- スポーツチームの運営
もし、野球チームで当日の出場選手を決める場面で選手の練習や試合データがない状態だと、なんとなくで選手を決めるしか選択肢がありません。
しかし、練習データや最近の試合の成績から選手を客観的にデータで見ることで、より意思決定がしやすくなるのです。
下図のような流れで、スポーツチームの運営にデータサイエンスを活用できます。
このように、データサイエンスの技術を活用することで様々なメリットがあります。
以下からは、データサイエンスがビジネスにどのように活用されているのかを解説していきます。
データサイエンスはビジネスにも活用されている!
データサイエンスは様々なメリットがあることから、ビジネスシーンでも多く利用されています。
この記事では、データサイエンスがどのようにビジネスに利用されているかを挙げて解説します。
- 飲食店
- 医療現場
- 製造工場
- ECサイト
それでは、それぞれ解説していきます。
【ビジネスの例1】飲食店
あなたが普段よく使う飲食店でも、データサイエンスの活用が進められています。
飲食店は日々、注文データが溜まっていくことから大量のデータが集まっており、データサイエンスを活用しやすいのです。
例えば、以下のようなことにデータサイエンスの技術が活用されています。
- 売れ筋のメニューの分析
- 在庫管理の最適化
- ターゲットを絞ったプロモーション etc.
以上の例以外にも、飲食店が独自にデータサイエンスを活用しています。
例えば、回転寿司チェーン「スシロー」では皿一枚一枚にチップを取り付け、需要予測を行うことで廃棄量の減少を成功させました。
※参考:食品ロス削減にDXで挑む|株式会社FOOD & LIFE COMPANIES
このように、データサイエンスの技術は様々なことに活用できるのです。
【ビジネスの例2】医療
医療でも、データサイエンスの技術が活用され始めています。
医療分野では患者の電子カルテ情報が日々集まるため、データサイエンスを活用するためのデータが既にあるためです。
例えば、以下のような場面でデータサイエンスの技術が用いられています。
- CTなどの画像の解析
- 患者の入退院の予測
CTなどの画像解析では医師の診断のサポートを行えます。
上図のように、画像の解析をサポートすることで、医師がより正確な診断を行えるようになります。
また、入退院を予測することで、最適なシフト計画を立てることにも活用できるのです。
【ビジネスの例3】製造工場
製造工場でも、データサイエンスの技術が活用され、生産効率の最適化や品質管理を行っています。
製造工場では、今まで人による検品やメンテナンスが行われてきましたが、データサイエンスの活用が徐々に行われているのです。
主に以下の場面でデータサイエンスの技術が活用されています。
- 生産ラインの効率化(画像解析による検品)
- 故障予測によるメンテナンスの最適化
下図のように、生産ラインにカメラを取り付けて、画像解析を行うことで、より効率かつ正確に検品を行えます。
また、機械の稼働データやメンテナンスデータで故障を予測することで、故障しないようなメンテナンス計画を立てられるのです。
【ビジネスの例4】ECサイト
ECサイトでも、データサイエンスの技術が多くの場面で活用されています。
ECサイトはユーザの購入情報だけでなく、サイト内での行動データも得られるので、データサイエンスの活用が特にしやすいのです。
以下のようなことにデータサイエンスの技術が活用されています。
- ユーザに合わせたおすすめ商品の提示
- ユーザの行動分析によるマーケティング戦略の最適化
- 在庫管理の最適化
SNSでのおすすめ欄と同じように、ECサイトでもユーザに合わせたおすすめ商品の提示にデータサイエンスの技術が用いられています。
また、ユーザの行動データから、プロモーションする顧客層を絞るマーケティング戦略を打てるのです。
他の活用例に関しても知りたい方は、『データサイエンスの活用事例まとめ|導入事例4選と必要な3つの準備』の記事をご参照ください。
データサイエンスの技術をビジネスに使う3つのメリット
ここまでで紹介したように、データサイエンスはビジネスでも様々な場面で活用されています。
特にビジネスにおけるデータサイエンスを活用するメリットは以下の3つが代表的です。
- 売上を上げる糸口を見つけられる
- コストが削減できる
- 客観的な経営判断ができる
それぞれ解説していきます。
売上を上げる糸口を見つけられる
データサイエンスデータから有益な情報を発見し、問題解決を行うためのプロセスの学問であるため、売上を上げる糸口を見つけられます。
売上を上げることはどの企業にとって最も重要な目標の一つであり、その糸口を見つけるためにデータサイエンスが活用され始めているのです。
例えば、以下のような方法から、売上を上げる糸口を見つけられます。
- 顧客の購買履歴から自社の顧客層をより細かく把握する
- ターゲット顧客の行動パターンを分析しておすすめを提示する
- キャンペーンの効果を定量的に評価する
顧客の購買履歴といったビッグデータをデータサイエンスの技術で分析することで、顧客理解を深められます。
その結果、よりターゲットを絞ったキャンペーンや商品設計を行えるのです。
今まで見えてこなかった売り上げを上げる糸口を発見できるのがデータサイエンスを活用する大きなメリットになります。
売上の分析について詳しく知りたい方は『売上分析とは?未来の戦略を練るための方法3選』の記事をご参照ください。
コストが削減できる
データサイエンスは、売上を上げるためだけでなくコスト削減にも活用できます。
コスト削減は利益に直結するため、どの企業も必ず直面する課題ですが、データサイエンスの技術を活用することでコストが削減できるのです。
『ビジネスでの活用例』で挙げた中でも、以下の内容はコスト削減になります。
- 患者の入退院の予測
- 機械の故障予測によるメンテナンスの最適化
- 在庫管理の最適化
データサイエンスを用いることで、無駄が生じていたコストを発見して削減できます。
例えば、機械の故障予測では「メンテナンスしていれば故障しなかった」という事態を防げるのです。
以上に挙げたこと以外でも、様々なコストを削減できるので、データサイエンスの活用がビジネスで進んでいます。
客観的な経営判断ができる
データサイエンスは経営レベルでの意思決定も支援できます。
経営レベルでの意思決定では「客観的なデータに基づく」判断が求められるため、データサイエンスの活用が重要なのです。
例えば、以下のような判断にデータサイエンスが活用できます。
- 市場動向の分析による戦略立案
- 業務プロセスの最適化
また、新しい市場に参入する場合、どれだけ勝算があるかを考えて判断しなければなりません。
データサイエンスの技術を活用して市場分析を行うことで、参入して本当に勝算があるかを客観的に判断できるのです。
とはいえ、経営判断にデータサイエンスを活用するには優れたデータサイエンティストが必要になることに注意しましょう。
データサイエンスの技術を使うのにかかるコストは?
データサイエンスの活用を考える上で、注意しなければいけないのがコストです。
ここでは、代表的なコストを3つ紹介します。
- 人件費
- データの保管のコスト
- 情報漏洩を防ぐためのコスト
かかるコストを把握しなければ、いざ導入するとなっても失敗に終わってしまいます。
それぞれのコストについて解説していきます。
人件費
データサイエンスの活用で問題になるのは、人件費が多くかかることです。
高度な専門知識を持つデータサイエンティストやアナリストが必要になるため、多額の人件費がかかることを想定しておきましょう。
自社でデータサイエンティストやアナリストを抱えるとなると以下のコストが発生します。
- データサイエンティストやアナリストの給与
- 継続的な教育やトレーニングのコスト
特に、データサイエンティストは高いスキルを要求される職種であり、報酬も比較的高い傾向にあります。
そのため、初めはデータサイエンスを専門としている企業に委託を行うことをおすすめします。
「かっこのデータサイエンス」では課題の洗い出しから、解決に向けたアプローチの提案まで無料で実施しています。
データの保管のコスト
データサイエンスを活用するためにはデータを保管する必要があり、管理するためのコストがかかります。
昔に比べるとデータの保管コストは低くなっていますが、大量のデータを保管するにはそれなりのコストがかかってしまうのです。
データを保管するには、以下のようなコストを考えておきましょう。
- サーバーやストレージの購入・レンタル費用
- セキュリティの維持管理コスト
データの量が増えれば増えるほど、保管コストも増加します。
クラウドストレージを利用することも可能なので、様々な選択肢を考えたうえで判断することをおすすめします。
情報漏洩を防ぐためのコスト
データを溜めるため、個人情報や企業の機密データを扱うことが多く、情報漏洩防止のためのコストもかかります。
もし、情報漏洩を起こしてしまえば自社の信用を大きく下げてしまうことになりかねないため、必ず対策しなければなりません。
例えば、以下のようなことにコストがかかります。
- セキュリティソフトウェアの導入・更新コスト
- 情報セキュリティ対策のための社員研修・トレーニングコスト
- セキュリティ監査や脆弱性評価のコスト
セキュリティソフトウェアの導入はもちろん、社員に対しても情報セキュリティ対策の教育を行う必要があります。
また、定期的にセキュリティ監査や脆弱性評価も行うようにしましょう。
データサイエンスを活用するには相応のコストがかかることに注意して導入を検討することをおすすめします。
データサイエンスの活用の流れ:PPDACサイクル
ここまで、データサイエンスのビジネスへの活用について解説してきました。
この章では、実際にデータサイエンスの活用のプロセスであるPPDACサイクルについて解説していきます。
PPDACサイクルは以下の5つの流れで構成されています。
- ①問題を把握する(Problem)
- ②仮説を定めて分析するための計画を立てる(Plan)
- ③データを収集して整理する(Data)
- ④データを分析する(Analysis)
- ⑤分析結果を解釈して解決策を考える(Conclusion)
※参考:PPDACサイクルとは?|総務省統計局Data StaRt(データ・スタート)
それでは、各ステップをそれぞれ解説していきます。
①問題を把握する(Problem)
データサイエンスを効果的に活用するには、問題を正確に理解すること(Problem)が必要になります。
なぜなら、問題を正しく把握できなければ、見当違いなデータ分析を行ってしまう可能性が高いからです。
以下のことをデータサイエンスの技術を活用する前に考えておきましょう。
- 最終的な目標の設定
- 現在の状況の把握
問題の明確化はデータ分析の方向性を定める上でも重要であるため、注意して取り組みましょう。
②仮説を定めて分析するための計画を立てる(Plan)
問題を明確化できたら、解決策を見つけるための仮説を立て、分析計画を策定していきます。
問題は明確化できましたが、解決に至るまでの分析計画を正確に立てられなければ、問題は分かっていても見当違いな分析になってしまいかねません。
そのため、計画段階では以下のことを議論する必要があります。
- 問題・課題の細分化
- 分析に必要なデータの種類と量の予測
- どのような分析手法を用いるかの策定
- 分析にかかる時間やリソースの計算
計画段階でどれだけ丁寧な準備を行えるかで、データの収集や分析の効率が大きく変わります。
特に、不足しているデータがないかは入念に確認しておくようにしましょう。
「かっこのデータサイエンス」では、解決に向けたアプローチまで無料で実施しているので、お気軽にお問い合わせください。
③データを収集して整理する(Data)
上のステップで立てた分析計画に基づいて、必要なデータを収集し整理します。
データがあればすぐに分析できるわけではなく、それぞれのデータを統合したり変形することで分析できる形にしなくてはならないためです。
以下のような作業が中心となります。
- データの収集
- データの欠損や異常値の処理
- データの変換
- データの統合
以上のように、様々なことを行わなければなりません。
このステップで収集して整理したデータの品質が分析の質に直結するため、丁寧に行いましょう。
④データを分析する(Analysis)
整理したデータに対して、統計的手法や高度なデータ分析手法を用いて分析を行います。
Planの段階で立てた分析計画に沿うと、より効率的にデータ分析を行えるでしょう。
例えば、以下の分析手法が例として挙げられます。
- クラスタリング
- 回帰分析 etc.
以上の分析手法以外にも様々な分析手法があり、計画段階である程度決めておく必要があります。
より高度な分析になるほど、専門的な知識が必要であることに注意しておきましょう。
⑤分析結果を解釈して解決策を考える(Conclusion)
最後のステップでは、分析結果を適切に解釈し、実践的な解決策を導き出します。
分析を行って終わりではなく、適切に解釈して解決策に結びつけなければ意味がありません。
そのため、以下のような点を意識して解決策を考えましょう。
- 分析結果の解釈
- 最初の仮説との比較
- 最終的な解決策の提示
以上のことをきちんと行うことが、データサイエンスの活用の一連の流れになります。
このサイクルを適切に用いることで、データサイエンスの活用の成功率が上がるので、ぜひ参考にしてください。
「少し不安だ…」「サイクルは理解しても人材が不足している…」「実際に流れを知っている人に相談したい…」とお悩みの方は、「かっこのデータサイエンス」にお気軽にご相談ください。
まとめ
以上、データサイエンスについて詳しく解説してきました。
データサイエンスとはデータから価値ある情報を発見し意思決定を行うプロセスの学問であり、以下のように様々な場面で活用され始めています。
- SNSでのおすすめの推薦
- 交通渋滞の予測
- 最適なシフトの調整
- ホテルの宿泊値段の変動
- ChatGPTなどの生成系AI
- スポーツチームの運営
以上の例は一部であり、今後も身近な例が増えていくでしょう。
データサイエンスを活用するメリットとして代表的なものは3つあります。
- より正確にデータ分析できる
- 大量のデータ(ビッグデータ)を扱った分析ができる
- データに基づいた判断がしやすくなる
データサイエンスの技術は統計学だけではないため様々なアプローチからデータの価値を引き上げられるのです。
データサイエンスの技術はビジネスシーンでも使われており、以下のようなメリットがあります。
- 売上を上げる糸口を見つけられる
- コストが削減できる
- 客観的な経営判断ができる
データサイエンスを活用するとなれば、以下のPPDACサイクルを参考にしてください。
- ①問題を把握する(Problem)
- ②仮説を定めて分析するための計画を立てる(Plan)
- ③データを収集して整理する(Data)
- ④データを分析する(Analysis)
- ⑤分析結果を解釈して解決策を考える(Conclusion)
以上の流れを用いることで、円滑にデータサイエンスの技術を活用できます。
とはいえ、いざやるとなると「活用の流れを適切に実行できる人材がいない…」「コストがかかるから失敗したくない…」と考えてしまいます。
もし「データサイエンスの技術を活用したいけど、まずは専門家の意見が欲しい…」とお悩みの方は、「かっこのデータサイエンス」にご相談ください。
かっこのデータサイエンスでは、つまづきやすい「課題の設定から解決に向けたアプローチの提案」まで無料で実施しております。
詳細は以下のバナーをクリックの上、ページをご参照ください。