前章では、目的の数字に関する基礎集計をしました。これによって、今後目指すべき現実的で具体的な目標設定や、そのためのアクションのイメージがしやすくなったかと思います。
今回は、その売上を構成する「顧客」の分布について確認していきます。
この分析によって、顧客を「たくさん購入してくれるお得意客」や「最近購入のない離反客」のように分類できるようになり、具体的なマーケティング施策の設計につなげられます。
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顧客分析の定番手法はRFM分析
顧客分析では、RFM分析が直感的でわかりやすい定番の手法です。
顧客分析には、一般的に使われている便利な指標がいくつもあります。その中でも、今回取り上げるのはRFM分析です。
RFM分析とは、以下の3つの観点から顧客を理解し、分類するための分析手法です。
| 指標 | 正式名称 | 内容 |
|---|---|---|
| R | Recency(最新購買日) | 顧客が最近いつ購買したか |
| F | Frequency(購買頻度) | 顧客がどれくらいの頻度で購買しているか |
| M | Monetary(購買金額) | 顧客がどれくらいお金を使っているか |
RFM分析について詳しく知りたい方は、『こちらの記事』も参考にしてください。
RFM分析の集計方法
RFM分析の集計は、顧客別に直近1年間の実績をもとに行います。
最新購買日は、データ全体の最新購買日を基準に、顧客別の最新購買日との差を計算します。
購買回数は、顧客別に年間の合計伝票数をカウントします。購買金額も同様に、年間の支払い金額を合計して算出します。
このように集計すると、顧客別の「最新購買日からの経過日数」「合計伝票数」「合計金額」のデータセットができます。
RFMの分布を確認する
最新購買日からの経過日数(R)の分布

x軸は、顧客別の経過日数を1週間単位でグルーピングしたものです。
この分布から、全体的にばらつきがあり、1ヶ月以内に購買がある顧客は20%強、3ヶ月以内に購買があるのは約50%であることが分かりました。
まだ仮説の段階ですが、最後の購入から3ヶ月という期間を意識して、継続的なフォローアップを行うと効果的かもしれません。
購買回数(F)の分布

購買回数の分布は明確で、年1回の購買がボリュームゾーンとなり、2回までで全体の80%の顧客を占めることが分かります。
購買回数1回の顧客を2回に増やせれば、大きなビジネスインパクトが期待できます。
購買金額(M)の分布

購買金額は、5,000円から10,000円をボリュームゾーンとし、年間20,000円まで支払う顧客が全体の80%を占める分布です。
「0円〜5,000円」「5,000円〜10,000円」「10,000円以上」の3グループに分け、上位グループの購入傾向を分析できれば、下位グループの購買金額を上げるための施策を検討しやすくなります。
RFM値をもとに顧客をセグメントする
次に、RFM値をもとに顧客をセグメントに分けます。
直感的にわかりやすい方針として、以下の手順で実施します。最終的な分割数は3とします。
- RFMの各値を降順にして顧客数が等しくなるよう3等分し、上位から順に3点、2点、1点を与えてR、F、Mスコアとする
- R、F、Mスコアを合計し、RFMスコアを算出する(顧客ごとに3〜9点の点数が与えられる)
- RFMスコアの分布をもとに同様に3等分し、上位から順に「優良顧客」「普通顧客」「引き上げ対象顧客」とする(整数で要素数が少ないため、顧客数は厳密には均等になりません)
参考として、R、F、Mスコアの点数の条件となった閾値は以下のとおりです。

こうして、顧客別にRFMを評価したテーブルを作成できます。

算出したRFMスコア全体の分布と、最終的な顧客のラベリングは以下のとおりです。

最後に、各セグメントのRFM平均値も確認します。

顧客を分けるメリットは、顧客を評価して差別化することで、具体的な顧客をターゲティングし、売上を上げる施策を設計できる点です。
売上を上げるアプローチを考えると、何から手をつけるべきか分からなくなるほど複雑に思えます。ですが、優良顧客の数を増やすという考え方に立つと、打ち手が絞られ、具体的な設計がしやすくなります。
施策の効果検証においても、これらの数値の変化を観察することは有効です。顧客セグメントから得られる優良顧客数、優良化率、離脱率などの数値は、売上を上げるために企業側でコントロールしやすい重要指標(KPI)になります。
また、それぞれのセグメントに紐づく顧客のデモグラフィック情報(性別、年齢、居住地域、職業など)と合わせて分析を深めることで、ペルソナ分析にもつなげられます。他の分析との親和性も高く、活用の幅が広い分析手法です。
パレートの法則も確認しておこう
「売上の8割を2割の顧客が生み出している」という現象を見聞きしたことがある人は多いのではないでしょうか。
ビジネスにおいて、「全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出している」という経験則をパレートの法則と呼びます。「2:8の法則」と呼ばれることもあります。
今回実施した顧客分析の結果にも、似たような傾向が確認できます。

パレートの法則は、データ集計の負担が少ない単純な顧客セグメントとしても活用できます。データを見る際に、パレートの法則になっていないかという仮説をもとに分布を確認することも、インサイトを得るきっかけになります。データと向き合うものさしの1つとして知っておくと役立つでしょう。
RFM分析の進め方でお悩みならCaccoのデータサイエンスに相談
RFM分析はシンプルですが、それだけでは見えてこない課題もあります。特に、今回説明した「売上」だけでの分類では、利益に貢献している顧客かどうかまでは判断できない点に注意が必要です。
そこで、RFMに利益(Profit)の変数を加えたRFM+Pで分析すると、さらに有意義なインサイトが得られることが分かっています。取引あたりの顧客の利益を厳密に算出しようとすると難しくなることもありますが、企業が最終的に追求するのは利益です。
「Caccoのデータサイエンス」では、顧客ごとの利益を算出し、指標として加えた顧客分析もご支援しています。
CPM分析をはじめ、今回紹介し切れていない顧客分析の手法もあります。顧客セグメントへのアプローチとして、機械学習(クラスタリングなど)を用いた客観的な特徴の把握や、デモグラフィック情報を加えたビッグデータ解析への発展も可能です。
顧客分析を一歩進めたい方は、お気軽にご相談ください。
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まとめ
今回は、顧客分析の進め方として、何から手をつけるべきか、どんなアウトプットを作るべきか、得られたアウトプットから何が読み取れるのかを実践的に解説しました。
これだけでも、マーケティングを進める判断材料は十分に得られます。ですが、顧客分析のアプローチはほかにもたくさんあります。
RFM分析はシンプルな手法ですが、利益の視点を加えたRFM+P分析や、機械学習を使ったクラスタリングなど、発展させる方法も多くあります。
顧客分析の手法選びや、自社データでの分析の進め方について相談したい方は、「Caccoのデータサイエンス」までお気軽にお問い合わせください。