「初めてフリマアプリに出品するけど、適切な値段設定はいくらだろう?」
「折角の品物、できるだけ高額で出品したい!」
と悩んだことはありませんか。
メルカリをはじめとした様々なアプリが台頭したことで、フリマアプリへの出品は身近な行為になりました。
簡単に誰でも利用できるようになったため、既に愛用しているアプリがある方も多いかと思います。
しかし、いざ出品しようとすると、より高く売りたい欲望の中で買い手のつく適切な値段設定をどうするのかは、頭を悩ませる難しい問題です。
本記事では、筆者の手元にある漫画を例に、どのような売り方をすれば同じ商品をフリマアプリで高く売れるのか考察しました。
実際のデータを用いて分析を行いましたので、是非参考にして下さい。
\経験豊富なかっこのデータサイエンティストがまとめました!/
目次
結論:送料は出品者が負担して100巻揃えて出品する
では、先に今回の分析によって得られた結論を述べたいと思います。
それはつまり、所有している1~90巻に91~100巻を買い足し、送料は出品者負担で20,000円で売ることです。
私自身、所有していなかった91~100巻を買い足してから売った方が高く売れるという結果になったことは、驚きました。
ここからは、なぜこの結論に至ったのかを説明します。
※今回はメルカリで検証しています。
分析に使用したデータ
今回、分析の際に利用した情報は、メルカリのサイトからクローリング&スクレイピングして取得したものです。
取得した情報を加工し、分析に利用した情報は以下の項目になります。
- 販売結果:出品された商品が購入されたかされていないか
- 価格:出品者が設定した価格
- 1冊あたりの価格:価格をまとめ売りの冊数で割ったもの
- まとめ売りの冊数:何冊まとめて出品しているか
- 配送料の負担:送料を出品者・購入者どちらが負担するか
- 商品の状態:6段階で評価
また今回の分析では、出品された商品の中でも、購入された商品のデータのみを扱いました。
クローリング、スクレイピングとは、Web上の情報を収集する手段のことです。
クローリングは、Web上の情報を収集する作業を指します。
一方、スクレイピングでは情報収集に加えて、集めた情報の抽出や加工も行います。
メルカリで漫画をなるべく高額で出品するための3つの工夫
続いて、以上のデータを用いて、どのように出品すればメルカリで高額で出品することができるのか考えます。
ここでは、メルカリで取引価格に影響を与えている因子を、「何冊まとめて出品しているか」「送料の負担はどちらか」「商品の品質」の3点と仮定し、その価格に対する影響について分析をしました。
その結果、メルカリでできるだけ高額で出品するための工夫として、
- 複数の巻をまとめて出品する
- 送料は出品者が負担する
- 商品の状態を整えて出品する
ことが有効だと分かりました。
早速、各因子について見ていきましょう。
【工夫①】複数の巻をまとめて出品する
ここでは、何冊まとめて出品すると1番高額になるのかについて考えます。
以下のグラフは、横軸が「何冊まとめて出品しているか」、縦軸に階級ごとの「度数(棒グラフ)」と「1冊あたりの価格(折れ線)」を示しています。
私の場合、1~90巻を所持しているので「86~90冊」が該当します。
ここで、注目したい部分(赤丸の部分)を整理し、漫画を90冊持っている自分に対して、100冊持っている人を比べていきます。
90冊持っている人 → 1冊あたり111.4円 → 111.4円×90冊=10,026円
100冊持っている人 → 1冊あたり153.1円 → 153.1円×100冊=15,310円
これを見ると、100冊持っている人の方が5,300円程高く売れる傾向があります。
ブックオフオンラインで「ワンピース91~100巻」の相場を見たところ、1冊あたり300円なので10冊は3000円で購入できます。
したがって中古で漫画を10冊買い足した場合、その分を差し引いても、5,300円-3,000円=2,300円高く売れるということがわかります。
そのため、1~90巻をそのまま出品するのではなく、91~100巻を買い足して出品する方が賢明です。
【工夫②】送料は出品者が負担する
次に、送料の負担が価格にどう影響するかを見ていきたいと思います。
「着払い」である商品はなんとなくイメージが悪いと思いませんか。
下のグラフは、横軸が「着払いか送料込か」、縦軸に階級ごとの「度数(棒グラフ)」と「1冊あたりの価格の中央値(折れ線)」です。
「送料込」は送料が出品者負担、「着払い」は購入者負担であることを指します。
このグラフから、「送料込」の取引が圧倒的に主流であることがわかりました。
さらに、送料が出品者負担か購入者負担かで価格差がどれだけあるかを100冊あたりの価格に換算して考えると、以下のようになります。
出品者負担 → 141.9円×100冊=14,190円
購入者負担 → 109.3円×100冊=10,930円
これを見ると、送料は出品者が払った方が約3,300円高く売れています。
送料が約1,000円かかると仮定しても、それを差し引いて2,300円も高く売れるわけです。
この結果から、送料は出品者負担にした方が高く売れると分かりました。
【工夫③】商品の状態を整えて出品する
続いて、商品の状態が出品価格にどのように影響するのか見ていきます。
メルカリでは、商品の状態を6段階に分けて評価しています。
商品の状態が悪いほど価格は低くなりそうだと想像できますが、どれくらいそれが価格に影響するのかを確認してみましょう。
下のグラフは、横軸が「商品の状態」、縦軸に階級ごとの「度数(棒グラフ)」と「1冊あたりの価格の中央値(折れ線)」です。
折れ線グラフを見ると、予想通り、状態が悪くなるにつれて価格が下がる傾向にあります。
その中でも、商品の状態が悪い方の3段階(赤枠)では価格が急激に落ち込んでいるように見えます。
では実際に、商品の状態が悪い方の3段階でどれくらいの価格差があるのかを、100冊あたりの価格に換算して見ていきます。
「やや傷や汚れあり」 → 142.9円×100冊=14,290円
「傷や汚れあり」 → 122.4円×100冊=12,240円
「全体的に状態が悪い」 → 85.0円×100冊=8,500円
1番悪い状態から、1段階上がるにつれて約3,800円、2,000円と価格が高くなり、2段階で見ると5,800円高くなる傾向があります。
私の場合、明らかに状態が悪い漫画は3冊だけです。
そのため、3冊は中古で状態が良いものに差し替えて、「やや傷や汚れあり」と状態を良く設定して出品した方が、中古で購入した金額を差し引いても、5,000円以上高く売れることがわかりました。
データ分析を利用した最終的な出品価格の決め方
以上を踏まえて、最終的な出品価格を決定しましょう。
分析の結果で得られた私が出品する際の条件で、過去に購入された商品を抽出し、1冊あたりの価格の分布を図にしてみました。
分布は正規分布に従っているようにも見えます。
外れ値を除き、平均と標準偏差を計算すると、それぞれ154.0円、22.75円となりました。
正規分布の性質上、平均+2標準偏差で設定した価格は約2.5%の人の購入があると読み取れます。
統計的には、平均+2標準偏差の価格設定にしておけば、買い手を見つけることが出来そうだと分かります。
特に急ぎで売り切る必要がないのであれば、平均+2標準偏差である154.0円+2×22.75円=199.5円、100冊で19,950円、つまり約20,000円で出品して様子を見る、という判断ができそうですね。
まとめ
今回は、データ分析を用いてメルカリで高額出品をするための戦略を立ててみました。
本記事では、私の持っていた漫画「ワンピース」100冊の出品を例に分析を行い、データ分析を用いたメルカリ出品戦略立案の流れをご紹介しました。
その結果、私の漫画「ワンピース」100冊をメルカリでなるべく高く売ろうとした場合は、
・所有していた1~90巻に91~100巻を買い足して、100巻セットにして出品する
・送料は出品者負担にして20,000円で出品する
・状態の悪い3冊を別途購入した状態の良い中古品と差替えて、「やや傷や汚れあり」で出品する
という条件が導き出されました。
今回の記事を通して、フリマアプリでの出品戦略を考える時に、データ分析をどのように活用すればよいのかを具体的な例でお見せすることができたかと思います。
また、データ分析に基づく意思決定と統計的な考え方は、フリマアプリでの出品戦略立案に限らず、様々な場面で戦略を立てたい時に非常に役立ちます。
「かっこのデータサイエンス」は、データを整理して議論できるようにするところから、実際に分析を行うまで、クライアントに寄り添って、分かりやすく課題を解決します。
ぜひお気軽に、ご相談ください。