「引っ越ししたいけど、住みやすい物件はどれだろう?」
「物件探しを始める前に、まずは暮らしやすいエリアを絞りたい」
と考えたことはありませんか。
近年、コロナ禍の影響によりリモートワークが広まり、働く場所に囚われなくなったエンジニアが地方へ移住するケースが増えています。
沖縄は移住地の1つとして人気で、エンジニアの沖縄移住を支援するフェスなども開催されています。
そこで、今回は沖縄で物件探しをする場合のおすすめエリアを車を持っている場合と持っていない場合に分けてデータ分析を行いました。
実際のデータを用いて分析を進めるので、データ分析を用いた問題解決の流れも参考にしてください。
\経験豊富なかっこのデータサイエンティストがまとめました!/
目次
結論
はじめに、今回の分析結果を紹介します。
今回の分析を通して、沖縄に移住する場合は、
- 車を持っている人は、那覇空港へのアクセスが良い那覇市などのエリア
- 車を持っていない人は、国際通り付近のエリア
がおすすめだと分かりました。
今回は車を持っている人と持っていない人で分析を進めて、それぞれでおすすめのエリアを紹介しています。
それでは、それぞれ解説していきます。
【車を持つ場合】那覇市内がおすすめ
まず、車を持っている人には那覇空港へのアクセスが比較的良い那覇市などがおすすめです。
車を持つ人向けの分析結果を以下の表にまとめると下図のようになりました。
上の表では、家賃相場でおすすめの市町村を分けており、それぞれメリットとデメリットが存在します。
車を持っていて、なおかつ家賃が高くてもいい人には、那覇市、浦添市などのモノレールが開通していて比較的那覇空港へのアクセスが良いエリアがおすすめです。
また、家賃を抑えたい人には名護市などがおすすめですが、空港から遠いなどのデメリットもあります。
【車を持たない場合】国際通り付近がおすすめ
車を持っていない場合におすすめな地域は牧志駅のような国際通り付近のエリアです。
車を持っていない場合は駅からの近さが重要であるため、最寄り駅からおすすめのエリアを選んでいます。
以下の表に、車を持っていない場合のおすすめのエリアをまとめました。
車を持っておらず家賃が高くてもいい人には、牧志駅などの国際通り付近のエリアがおすすめです。
また、家賃を抑えたい人は首里駅、てだこ浦西駅などで物件を探すのが良いでしょう。
しかし、首里駅周辺の物件には築年数が長い、てだこ浦西駅周辺は駅から遠いなどのデメリットがあります。
分析に使用したデータ
今回、分析に使用したのは、2020年9月30日13:00に物件情報サイトSUUMO九州・沖縄版からスクレイピングしてきた3486件の物件データです。
スクレイピングとは、Webサイト上のコンテンツの中から特定の情報を抽出・取集する行為のことです。
データ分析に使用するためのデータを集めるために活用されてます。
本記事では、取得した3486件の物件データを、
- 駅まで徒歩30分以上の車利用中心エリア(1940件)
- 駅まで徒歩30分未満のモノレール利用中心エリア(1546件)
と分類しました。
そして、分類したデータをそれぞれ以下の区分に分けて分析を行いました。
- 車利用中心エリア:市町村ごと
- モノレール利用中心エリア:最寄り駅ごと
それぞれ分類したデータの項目は以下の通りです。
- 築年数
- 部屋の床面積
- 家賃
- 駐車場の有無(車利用中心エリア)
- 駅からの所要時間(モノレール利用中心エリア)
また、これらの物件データに加えて、沖縄本土の地図とモノレールの路線図を参考にしました。
沖縄本土の地図は下図の通りです。
また、モノレールの路線図は下図になります。
これらの情報を踏まえて、具体的にデータ分析を行っていきます。
沖縄で物件を選ぶためのデータ分析
ここからは、データ分析を用いて沖縄の物件を探すための具体的な方法を紹介します。
今回の分析は、
- 車利用中心エリア(車を持つ人向け)
- モノレール利用中心エリア(車を持たない人向け)
に分けて行いました。
それぞれの手順を順番に見ていきましょう。
車を持つ場合の物件の選び方
はじめに、車利用中心エリアについて分析を行います。
車を持っている人に対するおすすめエリアの分析は、市町村ごとに進めました。
車を持っている人向けのおすすめエリアをまとめた表をもう1度ご覧ください。
上の表は、駅まで徒歩30分以上の物件データ1940件の
- 築年数
- 部屋の床面積
- 駐車場の有無
- 家賃
の4つの項目について、順に分析を行うことで作成していきました。
なぜこのような結果になったのかについて、詳しく見ていきます。
【手順①】物件の築年数を分析する
まず、車を持っている場合の物件探しとして築年数の分析を行いました。
物件の新しさは住み心地を左右する重要な要素ですので、物件探しでも重要視されるものになります。
エリアごとに部屋の築年数を箱ひげ図にまとめたものが下図です。上の図より、那覇市や浦添市などの空港付近のエリアや八重瀬町には新しい物件が多いと分かります。
また、リゾート地として知られる恩納村の物件は築年数が長い傾向があることも読み取れました。
箱ひげ図の読み方については、『箱ひげ図を使うメリット・デメリットや実際の作り方を解説』にて詳しく解説していますので是非参考にしてください。
【手順②】物件の床面積を分析する
次に、車向け物件を見つけるために部屋の床面積を分析します。
床面積によって持ち込める荷物や家具が変化するため、床面積も必ず確認する必要があるのです。
エリアごとに部屋の床面積をまとめると、以下のような箱ひげ図が得られました。
上の図より、八重瀬町や恩納村などの物件は床面積が比較的大きい傾向があるようです。
築年数と床面積の分析結果を参照すると、恩納村の物件は昔ながらの広い物件が多いのではないかと推測できます。
また、沖縄北部で最も人口の多い名護市は、床面積が小さい物件が多いことも分かりました。
【手順③】物件の駐車場の有無を分析する
また、車利用エリアの物件探しのために駐車場の有無を調べます。
車を持っている場合は駐車場がある物件である方が良く、どの市がどれくらい駐車場付き物件があるかを調べる必要があるのです。
下図はそれぞれの市における駐車場付き物件の割合を示したグラフになります。
上図から、ほとんどの市町村で駐車場付き物件の割合が6割を超えていることが分かります。
特に北部地域の割合が高いのは、北部地域は自然が多く市街地まで距離があるからだと考えられます。
また、那覇市や浦添市など、市内にモノレールが走っているエリアでは駐車場付き物件の割合が低くなっていることも分かりました。
【手順④】物件の家賃を分析する
最後に、車向け物件探しのために各物件の家賃を分析しました。
家賃を確認しなければ新生活に必要な予算が分からないので、移住することを考えると家賃の分析は必須です。
エリアごとに部屋の家賃をまとめた箱ひげ図が下図になります。
上図から、那覇市や浦添市などの空港が近くモノレールが走っているエリアや、恩納村や八重瀬町などの床面積が大きい物件が多いエリアでは家賃が高いことが読み取れます。
那覇市や浦安市、恩納村や八重瀬町の家賃が高い理由として以下のようなものが挙げられます。
- 繁華街で比較的新しい物件である
- 床面積の大きい物件が多い
また反対に、名護市やうるま市などは家賃か安い傾向があります。
名護市やうるま市で家賃が安いのは、空港まで遠いことや床面積が小さい物件が多いことが理由である可能性が高いです。
車を持たない場合の物件の選び方
車を持っていない人向けの物件探しのための分析についても以下から解説していきます。
車を持っていない人向けのおすすめエリアは、駅から近い必要があるため、最寄駅ごとに調べました。
以下の表は、モノレール利用中心エリアのおすすめ物件についてまとめたものです。
この表は、駅まで徒歩30分未満の物件データ1546件の
- 築年数
- 部屋の床面積
- 駅までの所要時間
- 家賃
の4つの項目について順に分析を行って作成しました。
それでは、順を追って分析を行っていきます。
【手順①】物件の築年数を分析する
1番初めに、最寄り駅ごとでの物件の築年数の分布を分析しました。
車を持っている場合と同様に、築年数は物件探しに必要な要素であるため、分析を行う必要があるのです。
最寄り駅ごとに物件の築年数をまとめた結果、以下のような箱ひげ図になりました。
上の図より、牧志駅などの国際通り付近のエリアや、2019年に開業された浦添市内の駅付近に新しい物件が多いことが分かります。
また反対に、首里駅などの首里城付近のエリアは築年数が長い物件が多いですが、こちらのエリアは首里城が近いので街の景観を守るために古い物件が多くなっている可能性が高いです。
【手順②】物件の部屋の床面積を分析する
また、車を持っている場合の時と同様に、部屋の床面積の分析も行います。
床面積も物件探しの際に必ず意識する点であることから、最寄り駅ごとに差があるのかを分析しなくてはならないのです。
エリアごとに部屋の床面積をまとめたものが下図になります。
上図より、牧志駅など国際通り付近のエリアや首里駅付近のエリアの物件の床面積が比較的大きいことが分かります。
また反対に、床面積が小さい物件は赤嶺駅、奥武山公園駅など空港に近いエリアに多いです。
【手順③】物件の駅までの所要時間を分析する
車が無い人の物件探しのため、駅までの所要時間を調べる必要があります。
駅までにかかる時間の違いで移動時間が大きく変わってくるため、必ず確認しておきたい項目になります。
エリアごとに駅までの所要時間をまとめたものが下図です。
駅までの所要時間が短い物件は国際通り付近のエリアに多いです。
また反対に、赤嶺駅やてだこ浦西駅など路線の末端の駅の物件は駅までの所要時間が比較的長くなっています。
そのため、国際通り付近のエリアがおすすめのエリアであると判断できるのです。
【手順④】物件の家賃を分析する
最後に、車を持っていない場合物件を見つけるために家賃について調べます。
家賃が高ければどれだけ好条件であっても住めないため、どこの駅周辺が家賃が安いのかを調べるのは必須です。
エリアごとに物件の家賃をまとめた結果が以下の図になります。
上の図より、家賃が高いのは国際通り付近のエリアです。
家賃が高い理由として、以下のようなものが考えられます。
- 繁華街で比較的新しい物件である
- 床面積の大きい物件が多い
反対に、家賃が安いエリアは赤嶺駅、首里駅、てだこ浦西駅などです。
これらのエリアはの家賃が安いのは、駅からの所要時間が長く築年数が古いからだと考えられます。
まとめ
本記事では、データ分析を用いた物件探しの例として、沖縄移住のおすすめエリアを車を持っている場合と持っていない場合に分けて調査してみました。
車を持っている場合はおすすめの市を、車を持っていない場合はモノレールでの移動を想定しておすすめの最寄り駅をおすすめエリアとして選びました。
車を持っている場合と持っていない場合でそれぞれ分析をした結果は下図の通りです。
- 車を持っている場合
- 車を持っていない場合
車を持っている場合、家賃が高いところだと「那覇市や浦添市」であり、安いところだと「名護市やうるま市」という結果になりました。
また、車を持っていない場合だと、家賃が高いところでは「牧志駅やおもろまち駅」、安いところで「首里駅や奥武山公園駅」などがおすすめであると判断できました。
このように、車を持っているかいないだけでもおすすめのエリアが異なるため、実際の物件探しではこのように条件でおすすめの物件を絞ることが重要なのです。
曖昧な経験や知識からなんとなく判断していた課題も、データ分析を用いれば客観性をもって解決できます。
データを活用して解決したい課題がありましたら、ぜひ「かっこのデータサイエンス」までご相談ください。