導入事例

データサイエンスcase study

データサイエンスの活用で欠品額を4割削減。
ノウハウを仕組み化できたポイントはかっこの「伴走」にあり。

株式会社
デザインフィル

導入サービス:データサイエンス

デザインを通じて生活を楽しくするインスピレーションを提供し、人々のコミュニケーションを豊かにすることを理念とする株式会社デザインフィル。紙製品を中心としたステーショナリーの企画、製造、卸、販売を行うライフスタイルデザイン事業にて、製造における需要予測や社内体制のDX化にデータ分析を活用されています。かっことの取り組みを始めたきっかけや効果、いかに社内に浸透させていったか、その過程について、取り組みの検討段階から関わっている執行役員の渡邊恵介様と導入準備やご提供したツールの運用、管理をしているデータサイエンス部部長の渡邉晃成様にお話をお伺いしました。(以下、恵介さん、晃成さん)

これまでのベテラン社員のノウハウをひも解くデータサイエンス

── デザインフィル様の事業内容と展開する商品について教えて下さい。

晃成さん:事業領域としてライフスタイルデザイン事業とコマーシャルデザイン事業の大きく2つあります。 ライフスタイルデザイン事業は、物作りを通し文化を創造していくことを目指し、自社ブランドのプロダクトを展開しています。 コマーシャルデザイン事業については、企業のセールスプロモーションやOEMなど企業のコミュニケーション設計を行い、オリジナルグッズやノベルティギフトを企画、製作しており企業とのコラボレーション商品なども手がけています。

── 当時の課題やデータ分析を取り入れようと思ったきっかけを教えてください。

恵介さん:きっかけは、ライフスタイルデザイン事業のひとつ「ミドリ」におけるベテラン社員の定年退職でした。ベテラン社員が、適正な生産量を保つためこれまでの経験やノウハウをもとに需要予測をし、生産指示を出していましたが、具体的な指標を測っていなかったため、それが最適かどうかは明確ではありませんでした。 まずは、今やっていることを紐解いていき、現状を認識することからはじめました。 一方、会社としても、データサイエンスを推進しようという構想があった頃でした。

── タイミングも良かったのですね。2018年10月より貴社との取り組みを開始しました。 具体的には、貴社から受注関連のデータをお預かりし、需要予測の実現が可能かどうか、また、可能だとしてどの程度のインパクトが出せるか試算し、その後業務フローに活かせるようなロジックの確立、ツールの開発などを行いました。
当社を選んで頂いたポイントはありますでしょうか。

恵介さん:ベテラン社員の経験やノウハウをとても大切にしてくれました。なかでも印象的だったのは、ベテラン社員も直感やひらめきだけで物事を決めていないはずで、何かしらの社内データを手がかりにその人の経験に基づいて、着目しているはずという視点でした。このように新たな視点を一緒に発見し、ノウハウにしていく過程は、実現性も高そうだと感じ一緒に取り組んでいこうと決めました。

デザインフィルのお2人

── 需要予測システムの事前準備はどのようなことをしていただきましたか?

晃成さん:需要予測は基幹ブランド「ミドリ」の国内販売を担うミドリカンパニーに所属する営業推進室という部門が担当しており、私がその部署に異動したのが、2019年の4月でした。データを整えながら、需要予測の詳細なロジックの整備やいかに業務フローへ落とし込んでいくかを検討している段階でした。

まずはばらばらに保管されていた需要予測に必要なデータをとりまとめ、月次で需要予測の分析をしていただき、実態と合っているかを検証しながら、ロジックを詰めていきました。1年ほどかけてじっくり準備をし、2020年7月より「需要予測システム」として、運用を開始しました。

ミドリ製品集合

現状の見える化に成功。さらに組織としてDX推進へ

── 需要予測システムの運用開始から2年ちょっと経ちましたが、効果はいかがですか?

恵介さん:現状が常に見える化されたことに、大きな効果を感じています。特に、生産数に対して過不足が起こったときや、予測と結果が異なった場合にその要因や理由を、すぐに見つけられるようになりました。

例えば、これまでは製品を多く作りすぎた場合、なぜ作りすぎてしまったのかの説明が難しく、単純に「予測が外れてしまった」に留まっていました。しかし今は、なぜ予測が外れたのか、どうすれば防げたのかをデータという根拠をもとに、意思決定ができるようになりました。

晃成さん:システムで自動化、人が見るべき領域が整理され、全体の成績として前期時点で欠品額は4割削減することができ、同時に廃棄も減少傾向にあります。適正な数をしっかり予測して生産ができるようになり、パフォーマンスも向上しました。

新型コロナウイルスの感染拡大という従来のデータからは予測が難しい環境下でも、ロジックの構築に関わっていたことで、ポイントとなる指標を工夫するなど運用でカバーすることができ、利益水準の維持に貢献することができました。

── 取り組みを始めるにあたり、ハードルなどありましたでしょうか。

恵介さん:実は、当社代表はデータの活用に賛同していましたが、それ以外の現場の方々からは、当初今回の取り組みに対し信頼感が低かった、というのが今振り返ってのハードルでした。

晃成さん:需要予測を詳細なロジックや具体的な業務フローに落とし込んでツールとして運用にのせるまで1年ほどかかったためゴールが見えにくかったこともあると思います。現場に赴き、担当者と分析結果について会話することで、双方の理解が深まり現場の声も取り入れながら、検証を進めました。

今では需要予測業務が未経験のメンバーでもシステムの使い方と運用フローを学べばすぐに適正な意思決定と業務遂行ができるように仕組み化され、目指していたゴールにたどり着いた感覚があります。

── 今回の取り組みでの変化があれば、お聞かせください。

晃成さん:データサイエンスに基づく需要予測システムの構築をご一緒できたことで、ビジネス課題の解決や生産性の向上といった取り組みに、データサイエンスを活用する、という経験や知識が得られました。2022年7月にはデータサイエンス部が正式に立ち上がり、営業部門や企画部門を横断してデータによる課題解決や価値創出を提案、実行する役割を担うことになりました。

── 今後、期待することがあればお聞かせください。

恵介さん:後継者問題にもつながると思いますが、業務の属人化はよくあることだと思います。良い悪いではなく、 良いところはしっかり引き継ぎ、いかに平準化し、仕組みに落とし込むことが大切だと学ぶことができました。さらにかっこさんに一緒に伴走いただくことで、データを活用した取り組みのなかで、実験的な改善を繰り返すことができます。すると、ノウハウが私たちに蓄積し、会社の進化につながっていくと感じているので、今後もぜひ、継続していただきたいです。

会社のDX化を進めるためのプロジェクトがありますが、やっぱり最後は人だなと思ってるんです。1番の理想は、データ分析のもうちょっと手前で、誰もがExcelや、メールツールを使うぐらい統計やノーコードプログラミングなどが、普通にできるくらいに一般化したら、より強い会社になると思っています。

── ありがとうございました。 当社が大切にしている「お客様と伴走すること」を実感していただけていたこと大変嬉しく思います。 これまでのノウハウを大切にしながら、新たな挑戦をし続けるデザインフィル様。
その想いをデータサイエンスにのせて、私たちも現場の方々のノウハウや声を大切にしながら、これからも共に歩んでまいります。

株式会社 デザインフィル:
http://www.designphil.co.jp

2022年10月24日取材 ※内容は取材時のものです。