「RPAとAIはどう違うの?」
「RPAとAIを組み合わせることで効率化は進むの?」
と、気になりますよね。
結論、RPAとAIは全く別物で、RPAは「作業手順の自動化」、AIは「認識や判断を含む情報処理の自動化」が目的であり、そもそもの技術的な性質も用途も異なるため、比較する対象ではありません。
どちらが優れているかを比べるのではなく、どう組み合わせて活用するかが業務効率化のカギになります。
この記事ではさらに詳しく、
- RPAとAIのおすすめの組み合わせ3選
- RPAとAIを組み合わせる2つのメリット
についてお伝えしていきます。ぜひ参考にしてみてください。
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目次
RPAとAIの違い
先ほど述べたように、RPAとAIは全くの別物です。
RPAはルール通りの作業を正確に繰り返すのが得意ですが、AIはデータから学び判断するのが得意です。
他にもRPAとAIには以下のような違いがあります。
RPA | AI | |
定義・役割 | 定型業務の自動化ツール | 判断・予測・認識を担う技術 |
動作の基本 | ルールに従って決まった作業を繰り返す | 統計・アルゴリズムに基づいて学習・予測する |
得意な業務 | データ転記・帳票出力など | 画像認識・予測分析・分類など |
導入目的 | 作業時間削減・ヒューマンエラーの防止・効率化 | 問題解決・予測・認識・意思決定の高度化 |
このように、RPAとAIは役割や目的などが大きく異なります。
異なるこの2つの技術を連携することで、単純な定型業務だけでなく、複雑な業務や判断を伴う業務も任せられるようになります。
AIを搭載したRPAも存在している
AIの判断力や認識力をRPAに組み込むことで、RPAが苦手だった非定型・複雑な業務にも対応できるため、近年ではAIを搭載・連携したRPA(クラス2・クラス3)も登場し、RPAの自動化範囲が徐々に拡大しています。
RPAは、自動化レベルに応じて以下のように分類されます。
【クラス1:ルールベースの自動化(RPA)】
→明確なルールに基づく定型作業の自動化が可能です。
【クラス2:AI連携による高度な自動化(EPA)】
→AI-OCRや画像認識・自然言語処理など、AIとRPAを組み合わせて非定型作業を自動化します。
【クラス3:認識の自動化(CA)】
→AIの学習・推論・最適化機能を活用し、人間の意思決定に近い高度な業務判断まで自動化するクラスです。
※引用:総務省
最終形態であるクラス3はまだ実用化に至っておらず、現在のRPAツールの多くがクラス1に該当しますが、近年クラス2の製品も徐々に市場に登場し始めています。
RPA・AIとbotの違い
RPAやAIが業務自動化を支える「仕組みそのもの」を指すのに対して、botはその中で特定の役割を担う「実行ユニット」です。
請求書処理の業務を例にして見てみましょう。
RPA(仕組み全体の自動化)
- RPAが、毎月の請求書処理業務を丸ごと自動化します。
- システムからデータを取得して請求書の生成・社内承認フローの起案までの業務を自動化します。
AI(判断・認識の役割)
- 請求書処理作業の中でAI-OCRが紙の請求書を読み取ってデータ化し、内容を正しく認識・分類します。
- これにより、手動でのデータ入力が不要になります。
bot(特定タスクの実行プログラム)
- botは、RPAの中で「請求データを会計システムに登録するbot」「取引先にメールを送信するbot」など、特定の処理を担当するプログラムです。
- botはあくまで、RPAやAIの自動化シナリオの一部として機能します。
このように、RPAやAIは仕組みや技術であり、その仕組みの中で動く個々の実行者がbotという違いがあります。
そもそもRPAとは何か
RPAとは、「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略で、パソコン上で人間が行っている定型的・反復的な業務をソフトウェアロボットで自動化する技術です。
RPAの自動化範囲は、主に「ルール通りに実行できる作業」が対象で、Excel操作・データの転記・システム間の情報連携などが代表的です。
これまで人間が手作業で行っていた上記のような業務をRPAが代行することで、業務の効率化やヒューマンエラーの削減に繋がります。
RPAの3つの種類
RPAは、サーバー型・デスクトップ型・クラウド型の3つに分類されます。
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【サーバー型】
- 中央のサーバーでRPAを管理するタイプで、大規模な自動化や統制が必要な企業に適しています。
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【デスクトップ型】
- 個々のパソコン上でRPAが動作するタイプで、部署単位での導入に適しており、スモールスタートに向いています。
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【クラウド型】
- インターネット経由でRPAが利用できるタイプなので、環境構築不要で手軽に導入できます。
それぞれ運用の仕方や管理方法が異なるため、目的に応じた種類を選択するといいでしょう。
そもそもAIとは何か
AIとは、「Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」の略で、人間のように学習・予測・判断する技術の総称です。
近年では、AIを使ったOCR・チャットボット・画像認識などがビジネスに活用されています。
自律性と適応性がAIの特徴なので、RPAと組み合わせることで、RPAだけでは難しかった「判断が伴う作業」も自動化できます。
業務効率化を助けるRPAとAIの組み合わせ3選
RPAとAIの違いが明確になったところで、この章では、
- RPA×AI-OCR
- RPA×対話型AI
- RPA×音声認識AI
ビジネスで主に活用されている上記3つのRPAとAIの組み合わせについて、それぞれ詳しく解説していきます。
1. RPA×AI-OCR
AI-OCRが紙書類を高精度でデータ化し、その後の転記・登録をRPAが担当することで、紙帳票やPDFのデータ入力業務をほぼ自動化できます。
AI-OCRとは、AI技術を活用して、画像やPDFなどのドキュメントから文字を読み取り、テキストデータに変換する技術です。
-
【RPA×AI-OCRの具体的な活用例】
- 紙の請求書をスキャンし、AI-OCRでデータ化→RPAが会計システムに自動登録
- 顧客アンケートの手書き回答を読み取り、CRMに反映
- 履歴書の情報を読み取って人事の採用管理システムへ自動登録
AI-OCRは、手書き文字や非定型レイアウトにも対応可能なので、これまで手動で対応していた作業の多くを任せることができます。
2. RPA×対話型AI
チャットボットなどの対話型AIをRPAと連携させることで、問い合わせ対応や申請手続きといった定型業務を自動化し、かつ即時対応が可能になります。
-
【RPA×対話型AIの具体的な活用例】
- 社内のITサポートの場合、PCがフリーズしたなどの問い合わせに対して、RPAがマニュアル処理を自動実行
- 経費精算に関する質問を受け取った場合は、RPAが規定ファイルを提示し、申請処理まで代行
- 顧客からの配達状況の確認がきた場合は、対話型AIが問い合わせを受け、RPAが配送システムから情報を取得し回答
RPAとAIの組み合わせで24時間常に対応が可能になるだけでなく、RPAが裏側で事務作業を実行するため、単なるFAQにとどまらずその後の実務まで対応できます。
3. RPA×音声認識AI
音声認識AIが会話や通話をテキスト化し、RPAがその内容を基に処理を進めることで、音声データを使用する業務を効率化できます。
-
【RPA×音声認識AIの具体的な活用例】
- コールセンターでの通話を自動文字起こしして、顧客関係管理システムへの記録までを自動化
- 社内会議の録音内容を文字化して、RPAがToDoリストや議事録を自動生成
- 通話での問い合わせを音声認識AIで受け、内容に応じた業務システムへの連携処理をRPAが実行
このように、AIが音声をテキスト化し、RPAが所定のフォーマットに整理・保存・送信することで手入力の手間がなくなり、対応スピードも向上します。
RPAについてもっと詳しく知りたい方は『RPAとは?仕組みからAIやその他ツールとの違いなどを優しく解説』の記事を読んでください。
RPAとAIを組み合わせる2つのメリット
ここまで、RPAでの定型業務の自動化に加え、AIがデータ分析や判断を行うことで、より高度な業務も自動化できることを解説してきました。
これにより、業務時間の短縮や作業品質の向上が期待できる他、
- 自動化可能な業務範囲が広がる
- 判断や予測を伴う業務の自動化も可能
上記のような、RPAの運用だけでは得られなかったメリットもあります。
順に見ていきましょう。
1. 自動化可能な業務範囲が広がる
AIの判断力とRPAの実行力を組み合わせることで、RPAがルール通りの処理を担当し、AIが曖昧さを含む認識・分類・判断を補うため、これまで人手が必要だった複雑業務も自動化できます。
RPAだけでは対応できない非構造化データの処理をAIに任せることで、多様なフォーマットの帳票の処理・画像や音声を含むデータ処理などが実現可能になります。
このように、自動化できる業務の幅が大きく広がるので全体の効率化が加速し、人はより創造的な業務に集中できるようになります。
2. 判断や予測を伴う業務の自動化も可能
RPAの処理力にAIの予測・分析機能を組み合わせることで、単純作業だけでなく意思決定を含む業務の自動化が実現します。
例えば、需要予測に基づく在庫発注の自動化・顧客の過去行動データを活用したカスタマーサポートの優先順位付けなどの業務が、人間の判断を介さずに実行可能になります。
AIの予測や分析結果をRPAが即座に処理できるため、単なる作業の自動化だけでなく、データに基づいた意思決定部分の自動化までカバーできるようになります。
この『かっこのデータサイエンスぶろぐ』は、分析ツールを販売するのではなく、それぞれの会社に合ったプロジェクト型サービスなどを展開しているかっこ株式会社が運営しています。
かっこのデータサイエンスでは、業務効率化のサポート実績があり、
- ルーティン作業を自動化するRPA開発
- コールセンターの人員配置計画の作成
- 大規模な顧客分析基盤にリモートアクセスし、分析業務を提供
などといった、RPAやAIと同じように人が行う作業を軽減するサービスを提供しています。
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まとめ
今回は、RPAとAIの違いと、業務効率化を助けるRPAとAIの組み合わせなどを解説しました。
RPAがルール通りの正確な作業を自動化し、AIが認識・判断・予測などの処理を担うため、両者を連携させることで幅広い業務に対応できるようになります。
RPAとAIは目的も得意分野も異なる技術ですが、組み合わせることでお互いの弱点を補い、以下のようなメリットも得られます。
- 対応可能な業務範囲が広がる
- 判断や予測を伴う業務の自動化も可能
AI-OCRや音声認識・対話型AIなどをRPAと組み合わせれば、単なる作業の自動化にとどまらず、非定型業務や判断を伴う業務の自動化まで実現可能です。
AI活用のメリットなどについてさらに詳しく知りたい方は『AIとは?活用例やできること、注意点まで分かりやすく解説!』の記事を読んでください。
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