「出店したいけどどこに出せばいいの?」
「店舗の場所によって売り上げがどう変わるの?」
と、気になりますよね。
新しくお店を出す際、開店する場所は非常に重要です。
もちろん、口コミ・SNS・チラシなどを利用する様々な集客方法がありますが、一度その場所で開業してしまうとその後場所を変えるということは難しくなります。
アメリカでは、“location, location, loction(「まず場所、次に場所、最後に場所」)”という格言があり、出店場所が重要であると言われています。
そこで今回は、
・出店場所の重要性
・種類別におすすめの出店場所
・出店する際に重要な”商圏”について
などについて解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
\経験豊富なかっこのデータサイエンティストがまとめました!/
目次
店を出したい!どこに店舗を出せばいい?
「店を出そう!」そうと決まれば次に取り組むのは場所選びです。
そこで重要なのは、あなたのお店に来店するであろうお客さんが住んでいる・近い場所にお店を出すことです。
なぜなら、お店にお客さんが来ないと商売が成り立たないからです。
店舗の場所はとても重要
お店をどこに出すかによって、あなたの商売の未来が変わります。
お客さんが多く来るところに店を出せば売上が増えますが、逆にお客さんが来ない場所に店を出せば売上が増えずに赤字経営となってしまいます。
だから、お店を出す時には「場所」を考えることが1番重要なのです。
・マーケティングコストの削減
・店舗の認知につながる
そして、『4.【種類別】店舗を構える時に重視すべきポイント集』でも解説しますが、事業によっておすすめの店舗の場所は変わります。
出店の前にまずは事業の確認
お店を出す、と一口に言っても行う事業によって適切な場所は異なります。
例えば、飲食店と塾では想定するターゲット層も異なるため出店に適した場所も異なります。
そのためお店を出すには、どういった事業を行うのか、その事業がどのような層をメインターゲットとしているのか、などの確認が必要です。
店舗をどこに出すか決める重要な4つのこと
事業内容の確認を終えれば、いよいよ店舗の場所選びに入っていきます。
ただ空いている立地になんとなく店舗を開業しただけでは、集客は見込めません。
どこに店舗を構えるべきか、事業を成功させるために以下の4つのポイントを理解しておきましょう。
- ターゲット層の人たちと出会えるか
- そもそも人通りが多いか
- 継続的に利益を見込むことができる家賃設定か
- 競合の状況を確認しているか
詳しく説明します。
①ターゲット層の人たちと出会えるか
店舗経営では、設定したターゲット層を如何に集客するかがキモになっています。
おしゃれなカフェならメインターゲットは若者や女性、ファミリー向けなら文字通り家族連れが一般的にはメインターゲットとなります。
そのターゲット層が多く集まる場所といえばどこか、そう考えると開業に適した場所のイメージが湧いてくると思います。
そこから、開業する場所の人口統計などの具体的なデータから、ターゲット層が数多く住むエリア・頻繁に訪れるであろう場所を選ぶことができれば、その店舗の人気に繋がります。
②そもそも人通りが多いか
上記の話とも関連しますが、人通りは場所によって大きく左右されます。
人通りが少ない場所だと、店を知ってもらえる機会が減り、新規客を増やすことが難しくなります。
そのため、集客のチャンスを増やすためにも人通りの多い場所を選択することが重要になってきます。
しかし、『2.3 継続的に利益を見込むことができる家賃設定か』でもお伝えしますが、単純に人通りの多い場所を選べば良いというものでもないのが、場所選びの重要なポイントです。
③継続的に利益を見込むことができる家賃設定か
店を構える際には家賃が付きモノです。前述したような人通りの多い場所は、それだけ人気も高いためそれに応じて家賃も高くなる傾向にあります。
まずはエリアの家賃相場を調査し、売上と家賃の比率から利益の出る場所を選択することが大切です。
また、店舗を開業した後に継続して利益を出し続けられるか、収益計画を立てて確認することも必要です。
例えば、飲食業では家賃比率(売り上げに対する家賃の比率)を10%に抑えることが一般的に言われています。
これはFRL(Food:食材費, Labor:人件費, Rent:家賃)比率と呼ばれる、「FLは60%以下、FLRは70%以下」が理想的な比率だと言われていることから来ています。
補足. FRL比率について
FRL比率の定義から、最低でも家賃の10倍の売上が見込める場所を選ぶことが重要です。
例えば、月に家賃20万円の飲食店で利益を出すには200万以上の売上が必要ということになります。
ではその200万円の売上を達成するために必要な要素を考えていきます。
まず月に200万円の売上を達成するには、月間25日営業(週1日休み)だとした場合、200万円÷25日で1日に平均8万円の売上が必要になります。
次に、売上が客数とその単価、客の来店頻度により決定するため仮に単価1000円の商売であれば、1日あたり8万円の売上を達成するために1日あたり80人(8万円÷1000円)の来店が必要なことがわかります。
そのため、この店舗では1日に80人の来客が見込める店舗の規模と、地域特性を考慮しながら立地を選ぶ必要があります。
また、実際に推定利益を算出する場合、根拠となる顧客数などはかなり控え目な値を設定することをおすすめします。
その理由としては、仮に売上が見込みより低くても、家賃などの調整できない固定費が毎月発生するため、出店後のリスクをできる限り減らすためです。
④競合の状況を確認しているか
言うまでもありませんが、店舗やそのサービスを出しているのは自分たちだけではありません。99%のサービスには競合が存在します。
自店舗の売り上げにも影響するため、出店予定地の近くにどのような(似てる)お店があるのかを調査しましょう。
競合店を調査する事で、その客層・訪問時間帯・利用目的というような競合店の状況、自店舗にとっても有益な情報を収集することができます。
競合店を調査する時のポイント
競合調査をする時に重視するポイントとして、競合関係の幅の広さにも注意して調査してみましょう。
まず、同じ業態で同じ商品を提供する場合は直接競合といいます。対して、類似業種・業態のことを間接競合といい、さらに類似業種でなくとも店舗によっては競合になりえる場合もあります。
例えば、カフェを開業したい場合、周辺の喫茶店やカフェは直接競合になり、カフェでなくともレストランや洋食屋などのにた商品を扱う店舗は間接競合になります。
そして、「おしゃれな空間」をテーマとしたカフェであれば、同様におしゃれな花屋なども競合関係にあると言えます。
このように、幅広い競合関係を正確に把握することが出店の際は重要になります。
店舗の出店場所を決めるときは”商圏”を意識
ここでは、店舗の出店場所を決める際に重要な”商圏“について解説していきます。
商圏とは
商圏とは、来店するであろう顧客が住んでいる・移動できる範囲、すなわち集客できる範囲のことを指しています。
その性質上、商圏は店舗の売上の大部分、あるいはその全てを担う重要な定義です。
商圏の範囲は立地や業種、競合の数によっても異なり、商圏の把握は出店において必須になります。
店舗出店の決め手「商圏分析」
上記の商圏の実態を把握するために行われるものが商圏分析です。
店舗が対象とする商圏内で、居住または移動する人(すなわち顧客候補)の属性等をデータに基づき分析します。
用いるモノとしては、以下の「jSTAT MAP」のような総務省による国勢調査の結果を地図上に示したものや、独自に企業が収集したデータが活用されます。
※「jSTAT MAP」を用いて顧客の住所データをマッピングしたもの
※架空データ
商圏分析で得た情報を分析する手法
上記のような作業で得たレポートの情報を基に分析をするには、主に重回帰分析とハフモデル分析を使います。
- 重回帰分析
重回帰分析は、結果の要因に対して各要素との関係性を分析する手法です。
\[ y = β_0+β_1x_1+β_2x_2+… \]
重回帰分析の関係式は一般にこのように表されます。yを目的変数、xを説明変数、βを回帰係数と呼びます。
商圏分析の場合においては、例えば説明変数に商圏内の人口や競合の数などを置き、目的変数に売上を置くことで、売上に対してどの要素の影響度が高いかを可視化することができます。
以下の記事では、重回帰分析を含んだ回帰分析の解説から実施方法について詳細に説明しているので参考にしてみてください。
- ハフモデル分析
ハフモデル分析は、デイヴィット・ハフによって1960年に考案された、実店舗の集客予測を行う際に用いられる分析手法です。
具体的には、店舗の売場面積(規模)と店舗までの所要時間を用いて自店舗や競合店の集客率を計算します。
吸引率がいわゆる集客率にあたり、店舗の面積を魅力度として考え、「集客率は店の規模に比例し、到達する時間に反比例する」というものです。
λは抵抗係数と呼ばれ、利用客が店舗までの距離をどの程度重視するかを表したものです。
ただし、扱う商品によりλが異なるため、使いづらいということで抵抗係数を2(λ=2)とした、修正ハフモデルが新たに提案されました。
ただし、このハフモデルでは店舗面積を魅力度として捉えていますが、実際に店舗の魅力はより複合的な要素により決まるものであるため、この定義に関してはより精査が必要になります。
商圏分析に利用できるツール
ここでは商圏分析に使えるツールは「jSTAT MAP」です。
このツールを使うことで、データを地図に落とし込む作業が簡単にできます。
また、「jSTAT MAP」は無料で使えます。
jSTAT MAPとは
jSTAT MAPとは、GIS(Geographic information System)、地理情報システムとも呼ばれる技術を利用したもので、簡単に言うと地図上に国が収集したデータ、国勢調査などの地理情報データをマッピングすることで、地図上で分析・可視化を行うことのできる技術の総称のことをGISと呼びます。
そのGISを利用したツールであるjSTAT MAPを用いることで、店舗・物件周辺の人口や世帯数などを無料で集計することができます。
使い方としては「e-Stat 政府統計の総合窓口」というサイトにアクセスし、”地図で見る統計(jSTAT MAP)” をクリックします。そしてログイン(しなくても使える)することで上述したようなマッピング等を行うことができます。
【種類別】店舗を構える時に重視すべきポイント集
ここまで、商圏分析について述べてきましたが実際に出店する際は、店舗によって適切な場所やターゲットはもちろん異なります。
「ラーメン屋が盛り上がる場所」に美容院を出しても、同じように売れるとは限りません。
以下では実際に具体的な種類に分けて店舗を構える時に重視すべきポイントを説明していきます。
例1. ラーメン屋・定食屋の出店
定食屋、ラーメン屋などの飲食店では、様々なターゲット層が想定されるため、どんなお客さんに来て欲しいのか仮定するところから始まります。
例えば、ランチタイムに訪問する会社員をメインターゲット層とし、回転率を求めるのであればビジネス街、学生がメインターゲットであるならば学生街というように、ターゲットとする客層によって好立地の条件が変わります。
また、ラーメン屋の場合だと一般的な店舗と異なり、競合が多い場所が売り上げに有利に働くこともあります。
俗にいう「ラーメン激戦区」と呼ばれる地域で、集客力が高いためラーメン需要が高く、ラーメン好きが多く集まるため宣伝効果も高いという特有の強みがあります。
良く見渡せば、調査能力に長けているチェーン店、特に外資の(マクドナルド等も)お店の周りは人が多いはずです。
例2. 居酒屋の出店
居酒屋の場合でも、上記のラーメン屋等の例と同じくどの層をターゲットにするかで立地選定が変わってきます。
特に夜の人通りは確認しておくべき事項です。居酒屋の営業時間は夜が中心になります。そのため、昼の時間帯は多く人がいようと、夜になると人の往来がなくなってしまうような立地は避けるべきです。
そのため、時間帯による人通りの差がどれだけあるのか、出店を検討する地域を確かめることがどうかがとても重要になってきます。
例3. スーパー・コンビニの出店
コンビニやスーパーといったリピーターを主な顧客として扱う業種では、利便性が特に重要です。
特に、車で立ち寄る客も多いことから交通量の確認とアクセスのしやすさ、理想としては運転中にドライバーから見える立地に出店することが重要です。
コンビニなどは徒歩で向かう客がいることから、歩行者の数が多いところを中心に立地を考えていくことが必要です。
また、スーパーの場合は単にターゲット層が多いエリアに出店するだけでなく、扱う商品の物流なども考慮して立地戦略を練っていく必要があります。
例4. 学習塾の出店
上記の飲食店や小売店業界とは異なる塾業界ですが、まず重視するポイントとしては他と変わらずターゲット層の特定です。
基本的には中高生といった学生が主になるでしょうから、それらターゲットが多く通いやすい場所、学校の近くや下校の通り道、駅近などが候補に挙がってきます。
また、塾によってはアルバイトとして大学生を雇うことがあります。そのため、大学生のアクセスについても検討する余地があります。
上記から、周辺人口の多い学区や駅ごとにエリアを選定していくことが必要になってきます。
例5. 美容院の出店
美容院に関しては、コンセプトによってターゲット層は様々になるためそれに応じた立地を選定します。
例えば、ターゲットを20代~30代のOLとすれば、オフィス街や駅近に出店することが考えられます。
また、美容院は開業場所に柔軟性があり、空中階や地下店舗も視野に入ってきますが、それ故に店の存在に気づかれないこともあります。気づかれなければ存在しないのと同じであり、店舗は見えて初めて集客に繋がります。そのため、如何に看板や動線を見えやすくしていくことが重要です。
店舗場所の種類別におすすめの立地
これまでは、出店する店舗の業態ごとに重視するべきポイントを述べてきましたが、ここからは店舗を出す場所による違いを解説していきたいと思います。
- 駅前・駅近
- 繁華街
- オフィス街
- ロードサイド
- 住宅街
①駅前・駅近
駅前は言わずもがな、電車を利用する人が多く集まる人通りの多いエリアであり、客を流入させやすいことがわかると思います。
さらに、人通りが多いということは認知される機会も多くなるため、それだけ集客できるチャンスが多く発生します。
また、大手ゼネラルチェーンが駅を出るとすぐ見えるところによく出店しているケースも多く、既に良い立地だということもある程度保証されていることも大きいです。
ここまで良いこと尽くしですが、もちろんそれだけではなく、悪い点もあります。
それは総じて立地として人気な分、坪単価等のかかるコストが高いことが挙げられます。
基本的には先に挙げた大手ゼネラルチェーン店との取り合いになるため、初期費用も家賃も高く、維持にも相当な収益を必要とします。そのため、資本力に余裕がある場合を除いて、基本的に中小規模の店舗が選ぶものではあまりありません。
②繁華街
先ほどの駅から少し離れると見えてくるエリアであり、交通量や人通りの多さは駅前に引けを取りません。
基本的には飲食店が主になってきますが、さまざまな施設が建ち並んでいるため繁華街に来ること自体が目的の客を引き寄せやすいことが特徴です。
しかし、繁華街は駅前・駅近同様、家賃等のかかるコストが高いため、客単価や売上がある程度見込めないと出店は難しいエリアになります。
また、施設が多いということはそれだけ競合の存在も多くなることが留意点と言えます。
③オフィス街
様々な層が訪れる駅前・駅近や繁華街とは異なり、オフィス街はその地域で仕事をするビジネスマンが主なターゲット層となります。
そのため、夜間より昼間の人口が多く、平日の利用者が多いことが予想されます。
逆に言えば、土日や祝日はあまり売り上げを見込めないため、顧客のリピート率を上げ、平日の売り上げを安定させる必要があります。
④ロードサイド
ロードサイドとは、主に郊外の主要道路や生活道路など、車の通行量の多い道路沿線のことを指しています。
主に自動車を所有している方をターゲット層としており、運転中に目に入るような看板の設置や駐車場の確保が必要です。
特に重要なのが、「自動車での利用のしやすさ」です。
具体的には、駐車場への入りやすさ、駐車のしやすさ、駐車場からの出ていきやすさの三つになります。
そのため、ロードサイドでのおすすめの場所としては多くの侵入経路になりうる複数の生活道路が交差する交差点周辺、が挙げられます。
また、自動車を所有する客をターゲット層としていますが、近隣に住む住民なのか、遠方から来た帰りに通るのか、一般車両よりトラックなどの往来が多い道路なのか、その客層は様々であるため、店舗のコンセプトと場所の性質をマッチさせていくことも大切です。
⑤住宅街
住宅街は、その地域で共住している人が多くいるエリアです。
ファミリー層が多く住んでおり、家族向けの商品・サービスを提供する店舗などがこの層をターゲットとするときに候補になる立地です。
立地の性質上、また、比較的家賃が安く、競合があまり多くないというメリットがあります。
また、リピーターを獲得しやすいこと、土日等の休日利用が多いことが挙げられます。
まとめ
本記事では、店舗を出す際に必要な調査・分析や、各店舗や立地の特性を説明しました。
商圏分析の考え方や店舗・立地特性を理解することで、店舗を出すときにどこに出せばよいのか、その指標を立てることができます。
店舗を出す際は、ここで述べたようなことを意識、実践して出店に役立ててみてください。
また、もし「自分では分析できない!」「次のお店の出店も成功させたい!」「リピート顧客を増やしたい!」などというお悩みがあれば『かっこのデータサイエンス』にお任せください。
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