EC(ネット通販)と同じものとして語られがちなD2C。
しかし、実はD2CとEC(通販・ネットショップ)は明確に違いがあります。
そこで、今回は
- D2CとEC(通販・ネットショップ)の違い
- D2Cとして成功するための3つのポイント
について整理しました。
D2Cは新しい概念であるため、ビジネスに適用するのが難しく感じるかもしれませんが、ポイントを押さえるだけであればハードルは高くありません。
また「D2Cって難しそうだけど成功させるためのポイントとかあるの?」とお悩みの方に向けて、成功のポイントを3つに絞って紹介していいます。
D2Cビジネスを展開していきたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
D2CとEC(通販・ネットショップ)の違いは?
結論、ECとD2Cではっきりと違うのは「ブランドの世界観を見せるかどうか」です。
一見、D2CはECに含まれる概念で、ネット販売だけするかのように思えます。
しかし、D2Cではインターネット上だけでなく、実店舗で販売することもあるのです。
そのため、その点ではEC(通販・ネットショップ)と明確に違いがあると言えます。
また、D2Cでインターネットを通じて販売する際は、Amazonや楽天などのプラットフォームを利用せず、自社のECやSNSで商品のコンセプトやブランドの世界観を伝える点が特徴です。
いわゆるECでは「早い・安い・便利」のような機能が価値とされてきました。
しかし、D2Cでは「スーツケースによって得られる旅」のようなコト体験が価値とされています。
ここからは以下の順に、ECとD2Cの違いについて解説します。
- EC(通販・ネットショップ)とはインターネット経由で商品を販売すること
- D2Cとは製造者がブランドの世界観を大事にし商品を直販すること
EC(通販・ネットショップ)とはインターネット経由で商品を販売すること
まず、EC(通販・ネットショップ)とはインターネット経由で商品を販売することを意味しています。ECは「electronic commerce」の略称で、日本語では電子商取引といいます。
ECはインターネット上で商品を販売すること全般を指しており、「インターネット通販」や「ネットショップ」など、当たり前に使われている言葉の総称だと考えていただければ問題ないです。
例えば、Amazonや楽天を経由して消費者へ商品を販売したりすることもEC(通販・ネットショップ)の1つだといえます。
D2Cとは製造者がブランドの世界観を大事にし商品を直販すること
D2Cとは製造者がブランドの世界観を大事にし商品を直販することを意味しています。
D2Cは「Direct to Consumer」の略で、メーカーなどの製造企業が自社で企画、生産した商品を中間業者や小売店を挟むことなく、消費者へ直接販売する取引形態のことを指します。
D2Cと似たような言葉にはB2BとB2C、C2Cがあります。
- B2Bは「Business to Business」で企業同士の取引
- B2Cは「Business to Consumer」で企業と消費者の取引
- C2Cは「Consumer to Consumer」で消費者同士の取引
をそれぞれ指しており、意味が異なるためご留意ください。
D2Cとして成功するための3つのポイント
D2Cとして成功するためのポイントは以下3つです。
- 顧客や購買データを蓄積する仕組みを構築する
- 蓄積されたデータを分析し日々のマーケティングに活用する
- 実店舗やオンラインショップのUI/UXを改善しブランドの世界観を作り上げる
これらを実践することで、自社の世界観を出しながら、データに基づいて売上をあげるD2Cネットショップの構築につながるのです。
以上、3つのポイントに絞って紹介させていただきます。
顧客や購買データを蓄積する仕組みを構築する
D2Cとして成功するための1つ目のポイントは、顧客や購買データを蓄積する仕組みを構築することです。
商品の販売を小売店に任せていた場合は、売れそうな商品を企画・生産することに集中すればよく、販売に関するノウハウは不要でしたが、D2Cでは自社で消費者を集め、販売していく必要があります。
そのため、「誰に何が売れているのか?」「何に興味を持ってくれたのか?」というデータを取ることが重要です。
ShopifyなどD2Cに特化したECサイト構築サービスを使う場合は、データを蓄積する仕組みが勝手に用意されています。
しかし、自社でECを構築するにはAWSやGCPといったクラウドサービスを活用したり、オンプレミスでデータ基盤を整えなければなりません。
D2Cビジネス成功にはデータが不可欠だと言っても過言はないので、必ずデータを蓄積する仕組みを構築できているのか確認する必要があります。
蓄積されたデータを分析し日々のマーケティングに活用する
D2Cとして成功するための2つ目のポイントは、蓄積されたデータを分析し日々のマーケティングに活用することです。
ECサイトのログとして顧客データや閲覧・購買データを収集・蓄積できるようになっても活用できなければ意味がありません。
データをきちんと活用できれば自社の顧客像を理解できるようになり、誰に何を届けるべきか根拠を持って判断できるようになります。
例えば、洋服をD2Cで販売している企業に「20代向けの女性のTシャツを開発する必要があるのだがカラーバリエーションをどうすべきかわからない」という悩みがあったとします。
もし、このときデータを蓄積し活用できる仕組みがあった場合、「20代の女性には黄色のアイテムが売れているようだ」といった傾向が確認できるのです。
そのため、自信を持って「黄色のTシャツは新商品のラインナップに含めるべき」といった判断が下せるようになります。
データを蓄積し日々のマーケティングに活用することで、機会損失を減らし、売上拡大につなげることが可能です。
実店舗やオンラインショップのUI/UXを改善しブランドの世界観を作り上げる
D2Cとして成功するための3つ目のポイントは、実店舗やオンラインショップのUI/UXを改善しブランドの世界観を作り上げることです。
D2Cではブランドの世界観を正しく伝え、共感してくれるようなファンを持つことがとても大事です。
そのためには、顧客接点となる実店舗やECサイトのUI/UXを磨き上げ、ブランドの一貫性が伝わるように作り込む必要があります。
例えば黒や白を基調としたシンプルな洋服が売りのECサイトが、赤や黄色などの原色がいくつも入ったデザインだと、ブランドのコンセプトと一致していません。ブランド価値が下がる可能性もあります。
商品のコンセプトやブランドの世界観に共感してくれる人を増やすためにも、常に顧客接点のUI/UXとブランドの世界観が一致しているか確認し続ける必要があります。
D2Cの国内ブランド成功事例
ここからは日本のD2Cブランドで成功した事例として、以下3ブランドを紹介します。
- COHINA
- BULK HOMME
- BASE FOOD
1. COHINA:小柄な女性向けの服を販売するアパレルブランド
引用:COHINA -155cm以下の小柄女性向けブランド-(公式Instagram)
COHINAは小柄女性を美しく魅せる洋服を製造しているアパレルブランドです。
その特徴は365日インスタライブを配信すること。自社アパレルを着たモデルに登場してもらい、消費者へ直接商品コンセプトやブランドの世界観を伝えています。
お客様は自分が気になっている服を、ライブで登場しているモデルに着用してもらうことも可能です。これにより「本当に小柄な体格でも似合うのかな?」という不安を解消しています。
2017年11月に創業した当初は400名だったというInstagram公式アカウントのフォロワーは、今では20万人を超えるまでに成長。
COHINAのように、消費者と直接コミュニケーションを取り、直販することはD2Cの大きな特徴です。
2. BULK HOMME:業界をリードするメンズコスメD2Cの雄
引用:BULK HOMME
BULK HOMMEはマーケティング手法とブランド戦略に強みがある、メンズスキンケアブランドです。
特にオンライン販売を得意としており、売上の8割を支えています。
具体的にはネット広告で広く集客し、高品質なメンズコスメを初回特価の安値で販売。
品質に納得してもらった人だけに月額制で定期購入してもらい、安定して収益を得るビジネスモデルを構築しています。
また木村拓哉氏を起用したCMによりブランドの認知を拡大。メンズコスメ業界のトップランナーとして地位を確立しました。
3. BASE FOOD:栄養素に特化した食品を販売するブランド
引用:BASE FOOD
BASE FOODは1食で1日に必要な栄養素の1/3がすべてとれる完全栄養食を販売するD2Cブランドです。
BASE FOODもサブスクリプションモデルを構築しており、安価な初回特典で顧客を囲い込んで安定した売上をあげる仕組みができています。
定期的に新しい味の商品が登場しており、定期購入でも飽きないように工夫されているのもポイントです。
いち早く完全食市場へ参入し、定期購入の顧客を作り出していることが強みのD2Cブランドだといえます。
D2Cの海外ブランド成功事例
ここでは海外のD2Cブランドにおける成功事例を3つ紹介します。
- Glossier
- Warby Parker
- Allbirds
1. Glossier:肌本来の美しさを目指した化粧品ブランド
引用:Glossier
GlossierはコスメのD2Cにおける代表的なブランドです。
コスメ業界といえばきらびやかな広告が飛び交い、企業が消費者へ売り込むような手法が主流でした。
しかし創業者のEmily Weiss氏は、具体的なメイクの方法や有名人の美に対する考え方などをブログにまとめることで、主にミレニアル世代(1985〜90年代生まれの世代)から「共感」を集めています。
またGlossierでは、SNSのバズを引き起こすような店舗設計により、「共感」を起点としたマーケティングを展開。
実店舗でブランドの幻想的な世界観を忠実に表現して、現地ではインスタの聖地となっているようです。
共感を集める世界観を作り、それを実店舗で表現、さらに自動で拡散される仕組みを構築したことが強みのD2Cブランドだといえます。
2. Warby Parker:オンライン完結でメガネが購入できるアパレルブランド
引用:Warby Parker
Warby Parkerは、オンライン完結でメガネを比較的安く購入できる、ニューヨーク発のD2Cアイウェアブランドです。
購入の流れは以下の通り。
- ECサイト上で「HomeTry-on」という試着品を注文する
- 注文のさいに選んだ5つのフレームが家に届く
- 自宅でじっくりと吟味しながら検討、購入する
メガネの試着や視力検査など、自宅ではできないと思ってしまうような購入プロセスまでオンライン完結させたことが強みのD2Cブランドだといえます。
3. Allbirds:洗濯機で洗えるスニーカーを販売するアパレルブランド
引用:Allbirds
Allbirdsは、洗濯機で洗えて裸足のまま履けるスニーカーを販売するD2Cブランドです。
Allbirdsの特徴は、シンプルさを極限まで高めたデザインと機能性。
シンプルで使いやすいデザインでありつつ、軽くてしなやかな作りをしており、長時間歩いても疲れない機能性も兼ね備えています。
ニュージーランド直送の天然ウールによって作られており「洗濯機で洗えて靴下を履かなくてもいい」という商品コンセプトも人気を博した理由です。
一貫したブランドの世界観・商品コンセプトが強みのD2Cブランドだといえます。
そのほかのD2Cブランドの成功事例を知りたい方は以下の記事をご一読ください。
D2Cでは顧客を理解しブランドの世界観を伝えることが重要!
今回はD2CとEC(通販・ネットショップ)の違いから、成功するためのポイントまで紹介させていただきました。
D2Cを成功させるにはデータを蓄積する仕組みを構築しマーケティングに活かしていく必要があること、顧客接点となる実店舗やECサイトのUI/UXをブランドの世界観とマッチするように改善することが重要です。
これらD2Cの成功のポイントを押さえて、自社のビジネスへ取り入れてみてください。