「需要予測ってどうやるの?」
「需要予測を業務に活かしたいけど、使い方がわからない」
と、お悩みになっていませんか?
需要予測とは、過去のデータや周辺の条件をもとに、「いつ・どの商品が・どれくらい売れそうか」を予測して、その結果を発注や在庫、人員配置などの判断に活かす取り組みです。
勘や経験だけに頼らず、事前に売れ方のイメージを持てるようになると、欠品や余剰在庫を減らしやすくなります。
いきなり高度なAIや統計モデルを作る必要はなく、Excelやスプレッドシートでも、目的とデータを整理して正しい手順を踏めば、十分に業務で使えるレベルの需要予測を始めることができます。
この記事では、
- 需要予測とは何か、なぜ必要になるのか
- 需要予測に使いたいデータの種類
- 需要予測に取り組む5つのステップ
などについて解説していきます。
この記事を読めば、「自社のどのデータを使って、どんな手順で需要予測を進めればよいか」を、具体的にイメージできるようになるはずです。
ぜひ参考にしてみてください。

澁谷 優成
需要予測とは
先ほども解説したように、需要予測とは、過去のデータや市場の動向を分析して将来の需要量を予測することです。
完璧に当てることが目的というより、「どの程度売れそうか」「どれくらいブレそうか」を前提に、欠品や余剰在庫のリスクを減らすことに価値があります。
この章では、需要予測が必要になる理由と、始める前にそろえたいデータを整理します。
なぜ需要予測をすべき?4つの理由
需要予測が必要になる代表的な理由は、次の4つです。
- 【理由1】需要の波を目で追えなくなる
- 【理由2】仕入れは数量と時期を先に決める必要がある
- 【理由3】商品と売り方が増えるほど判断が複雑になる
- 【理由4】発注・在庫の判断が特定の人に依存しやすい
ここからは、それぞれが実務でどのような困りごとにつながるのかを見ていきます。
【理由1】需要の波を目で追えなくなる
売上や来店数には、曜日・月初月末・気温・セールの有無など、さまざまな要因による波があります。
波が大きくなるほど、目の前の売れ行きだけで在庫や仕入れを合わせるのは難しくなり、「思ったより売れた/売れなかった」が繰り返されがちです。
需要予測を用いて、あらかじめ「この週はどれくらい動きそうか」「このイベント前後はどれくらい増えそうか」を見立てておくと、欠品と余りの両方を減らす判断をしやすくなります。
【理由2】仕入れは数量と時期を先に決める必要がある
多くの商材は、「売れてから仕入れを増やす」では間に合わず、「いつ・どれだけ手配するか」を先に決める必要があります。
発注から入荷までにリードタイムがあったり、発注ロットに下限があったりするため、手配のタイミングと量を外すと欠品や余剰在庫につながります。
需要予測で「いつ・どの程度動きそうか」の目安を持っておくと、発注タイミングと数量を決めるときの根拠になります。
【理由3】商品と売り方が増えるほど判断が複雑になる
扱う商品や売り方が増えると、「どの商品を、どのチャネルで、どのくらい用意するか」の組み合わせが一気に増えます。
同じ商品でも、店舗とEC、自社ECとモール、単品とセットなどで売れ方が変わると、全体の感覚だけでは判断しきれなくなります。
需要予測の単位を「商品×売り方」「カテゴリ×チャネル」などに分けて考えられると、どこを重点的に手配すべきかの優先順位を付けやすくなります。
【理由4】発注・在庫の判断が特定の人に依存しやすい
発注や生産計画は、経験がある担当者に判断が集中しやすく、根拠が頭の中にあるだけだと、引き継ぎや改善が進みにくくなります。
担当者が変わるたびに判断基準がぶれたり、振り返りのたびに「なぜこの数にしたか」が分からなくなることもあります。
需要予測のプロセスを決め、予測値と実績の差を同じ指標で振り返るようにすると、判断のノウハウをチームで共有しやすくなります。
需要予測に必要な2つのデータ
需要予測は、過去のデータや周辺の条件をもとに将来を見立てる取り組みです。
そのため、「どのデータをどの単位でそろえるか」が、精度以前にまず重要になります。
需要予測に使うデータは、おおまかに次の2つに分けて考えられます。
- 企業内で蓄積・収集しているデータや情報(社内データ)
- 企業が直接コントロールできないコトに関するデータや情報(外部要因データ)
ここでは、それぞれで最低限そろえておきたいポイントを整理します。
必要なデータ①:企業内で蓄積、収集できるデータや情報
社内データは、需要予測の土台になる情報です。
売上や在庫、欠品、発注・入荷などの実績がそろっていないと、「予測がどれくらい外れたか」「どこに課題があるか」を定量的に確認できません。
まずは、次のようなデータからそろっているかを確認するとよいでしょう。
- 販売実績(商品×日付×数量/金額)
- 在庫実績(商品×日付)
- 欠品の記録(商品×日付、欠品理由)
- 発注・入荷の履歴(商品×発注日×入荷日×数量)
- 価格や販促施策の履歴(値下げ日、キャンペーン期間など)
最初からすべて完璧にそろっている必要はありません。
「販売実績+在庫実績」が日次または週次で追えるところから始め、需要予測の結果と実績を比較しながら、欠品記録や発注データなどを少しずつ足していく進め方が現実的です。
「データは揃っているけれど、どこから手を付けたらいいかわからない」という方は、当サイトを運営するかっこ株式会社の『かっこのデータサイエンス』にお気軽にご相談ください。
必要なデータ②:企業が直接コントロールできないコトに関してのデータや情報
外部要因データは、売れ方が変わった理由を説明したり、予測を補正したりするために使います。
社内データだけだと、「なぜこの週だけ急に売れたのか」「なぜいつもと違う動きをしたのか」が分かりにくい場面があります。
需要予測でよく使われる外部要因の例としては、次のようなものがあります。
- 気温や降水などの天候情報(季節性の強い商材に効きやすい)
- カレンダー要因(祝日・連休・給料日など)
- シーズンイベント(クリスマス、母の日など)
- 平日・週末・曜日などのパターン
- 市況やトレンドの情報(扱う商材によっては参考程度)
外部要因は、「とりあえず全部使う」というより、「効きそうな要因に絞って、説明や補正に使えるかどうかを試す」イメージで扱うほうが現実的です。
需要予測のやり方
ここからは、需要予測に取り組むときの具体的なステップを整理します。
いきなり高度なモデルを作るのではなく、「目的とデータをそろえ、シンプルな方法から始める」ことを前提に進めると、実務に落とし込みやすくなります。

- やり方1:現状の確認・データの把握
- やり方2:現状の課題を定量的に判断する
- やり方3:需要予測のためのアプローチ検討
- やり方4:モデルの構築
- やり方5:導入と調整
上記の5つのステップを、順に解説していきます。
【ステップ1】現状の確認・データの把握
最初のステップでは、「どの業務のために、どの範囲の需要を予測したいのか」と「今どんなデータがどの粒度であるのか」を確認します。

目的があいまいなままだと、せっかく予測しても「発注量を変えるのか」「補充頻度を変えるのか」が決まらず、業務に落ちにくくなります。
在庫管理であれば、「欠品による売り逃しを減らしたい」「廃棄や値引きによるロスを減らしたい」など、まずは課題を1つに絞ると進めやすくなります。
また、売上・在庫・欠品・発注などのデータが、日次なのか週次なのか、商品単位かカテゴリ単位か、といった粒度でどこまでそろっているかも把握しておくとよいでしょう。
【ステップ2】現状の課題を定量的に判断する
次に、【ステップ1】で整理した課題が、実際にどれくらい起きているのかを数字で確認します。

例えば、「欠品による機会損失が多いのでは」と感じている場合、欠品日数や欠品期間の売上影響を簡易的に試算してみると、課題の大きさを把握しやすくなります。
「どの商品で欠品が多いのか」「どの店舗やチャネルでロスが出ているのか」などを定量的に見ることで、需要予測の対象商品や対象期間を絞り込みやすくなります。
【ステップ3】需要予測のためのアプローチ検討
課題と対象が見えてきたら、「どのくらいの粒度で、どのようなやり方で需要を見立てるか」を決めます。

最初から複雑な方法を選択するのではなく、Excelなどで再現しやすいシンプルなアプローチから選ぶことがポイントです。
例えば、次のようなやり方があります。
- 直近◯週間/◯か月の販売実績を平均して、直近の需要の目安にする
- 前年同週・同月の販売数をベースに、今年の成長率やキャンペーン有無で微調整する
- セールやイベント期間だけ倍率を掛けて上乗せし、通常時と繁忙期で予測値を分ける
どの方法を採用するにせよ、「なぜこの方法を選んだのか」「どの期間のデータを使うのか」といった前提条件を、シート上にメモとして残しておくと、後から見直しや改善がしやすくなります。
【ステップ4】モデルの構築
ここでいう「モデル」は、難しい数式や機械学習だけを指すものではなく、「どのデータをどのような計算で需要予測値に変換するか」というルール全体を指します。

実務では、まずはExcelやスプレッドシートで、そのルールを表や数式として形にしていくことが多いでしょう。
具体的には、「商品×期間」の行に対して、「過去n期間の平均」「前年同週比」「イベント係数」などの列を追加し、最終的な予測数量の列を計算するシートを作ります。
最初の版を作ったら、過去の期間にさかのぼって「もし当時このモデルを使っていたら、どれくらい外れていたか」を確認し、誤差が大きい商品や期間の傾向をメモしておくと、次の改善につなげやすくなります。
【ステップ5】導入と調整
ある程度納得できる予測のルールができたら、実際の業務に組み込んでいきます。
需要予測モデルは、あくまで意思決定を手助けするツールという前提で、「どう使うか」を合わせて設計することが重要です。
例えば、「毎月の発注会議で、前月の予測と実績の差を確認する」「大きく外れた商品の要因(天候・販促・在庫切れなど)をメモする」といった運用を決めておくと、少しずつ精度と納得感を高めていけるでしょう。
環境の変化や商品構成の変化に応じて、年に数回は前提や計算方法を見直す時間を取ることも大切です。
この「導入→検証→微修正」のサイクルが回り始めると、需要予測は現場に根付きやすくなります。
需要予測の精度を上げる方法については『なぜ需要予測は当たらない?理由や精度の上げ方を解説』の記事をご参照ください。
需要予測をする3つのメリット
需要予測を業務に組み込むと、次のようなメリットが期待できます。
- コスト(余剰在庫・人員・生産等)の削減
- 販売計画・在庫管理などの意思決定の透明化
- 欠品による機会損失を防ぐ
ここでは、在庫管理や仕入れ判断をイメージしながら、それぞれのメリットを整理していきます。
コスト(余剰在庫・人員・生産など)の削減
需要予測は、余剰在庫や過剰生産といった「持ちすぎ」によるコストを抑えるために役立ちます。
売れ行きが不安で安全側に在庫を積み増すだけだと、保管費用や値引き・廃棄が増え、利益を圧迫しやすくなります。
予測値を前提に安全在庫や発注タイミングを決め直すことで、「欠品は避けつつ、在庫を持ちすぎない」バランスを取りやすくなります。
販売計画・在庫管理などの意思決定の透明化
需要予測を行うと、「なぜこの数を用意したのか」という判断の根拠を数字で共有しやすくなります。
同じ予測値と実績値を全員が見られる状態にしておくと、「どこで読み違えたか」「次にどう変えるか」をチーム全体で検討しやすくなるためです。
例えば、発注会議で予測と実績の差分を毎回確認するだけでも、担当者ごとの感覚のずれや改善ポイントが見えやすくなります。
欠品による機会損失を防ぐ
需要予測は、売れるタイミングで在庫が足りずに起きる「売り逃し」を減らすのにも役立ちます。
売れるはずだったのに在庫がなくて販売機会を逃すと、売上だけでなく顧客の満足度やリピートにも影響しやすいからです。
あらかじめピーク時期と必要数量の目安を見立てておくことで、限られた在庫を「売れるときにちゃんとある状態」に近づけやすくなります。
需要予測を任せるならかっこのデータサイエンス
需要予測は、「高度なモデルを作ること」よりも、むしろ「目的設定」「データの整理」「現場で使える運用設計」でつまずきやすいテーマです。
社内にデータはある程度そろっていても、「どこから手をつけるべきか」「どの単位で始めるべきか」「どうやって現場の業務に乗せるか」で悩むケースが少なくありません。
『かっこのデータサイエンス』は、こうした企業のデータ活用を支援するビジネスソリューションとして、需要予測を含むさまざまなテーマに伴走しています。
売上・在庫・会員などのデータを整理するところから、目的に応じた分析設計、予測結果を業務に組み込むための運用方針の検討まで、一連の流れを支援することが可能です。
実際に、かっこ株式会社では、株式会社デザインフィル様において、ベテラン社員の経験や勘に依存していた生産指示を、データにもとづく需要予測システムとして仕組み化する支援を行いました。
ばらばらに保管されていた需要予測に必要なデータをとりまとめ、受注データとノウハウを手がかりに需要予測ロジックを構築し、生産計画にそのまま使える形で運用できるようにしています。
その結果、欠品額を4割削減しつつ廃棄も減少傾向となり、予測が外れた要因をデータにもとづいて説明・改善できる体制づくりにつながりました。
こうした伴走型の支援を通じて、企業ごとの事情に合わせた需要予測の仕組み化と業務の標準化を進めていくのが、『かっこのデータサイエンス』の役割です。
需要予測の進め方や体制づくりでお悩みの場合は、まずは現在お持ちのデータや課題感を整理するところから、お気軽にご相談ください。
まとめ
需要予測は、過去のデータや周辺要因をもとに「いつ・どの商品が・どれくらい売れそうか」を見立て、在庫・仕入れ・生産・人員などの判断に活かす取り組みです。
完璧な予測を目指すのではなく、「どの程度の誤差を許容しながら、欠品と余りを減らすか」を決めていくプロセスと捉えると、業務に組み込みやすくなります。
進め方としては、次の流れを押さえておくと実務で回しやすくなります。
- 現状の課題と、予測したい対象・期間・粒度を整理する
- 売上・在庫などの社内データと、必要に応じて外部要因データをそろえる
- Excelなどでも扱えるシンプルなアプローチから需要を見立てる
- 予測値を発注や在庫などの具体的な意思決定に結びつける
- 予測と実績の差を定期的に振り返り、少しずつルールを改善する
まずは、自社のデータで「どの商品・どのチャネル・どの期間から需要予測を始めると効果が大きそうか」を考え、小さな範囲で試してみるとよいでしょう。
そのうえで、データの整理やモデルの高度化、運用の仕組みづくりなど、社内だけで抱えるには負荷が大きい部分については、外部のデータサイエンス支援を組み合わせるのも現実的な選択肢です。
需要予測をきっかけに、データを「見る」だけでなく「業務の判断に活かす」サイクルを社内に作っていけると、在庫や売上だけでなく、チーム全体の意思決定の質も少しずつ高めていけるはずです。



