Shopifyなどの便利なツールが登場し、競争が激しくなっているD2C事業。
ライバルがひしめく状況で、顧客に自社の製品を買ってもらうためにはブランディングの考え方が欠かせません。
今回の記事ではまず最初に「なぜ今D2C事業にブランディングが必要なのか?」という点について解説します。
そして、最後には具体的なブランディングの進め方までお伝えします。
広告などマーケティング活動はやっていても「ブランディングってとっつきにくい…」と思うかもしれませんが、重要なポイントを押さえるだけなら意外と簡単です。
これからD2C事業をはじめたい方にも伝わるようにできるだけ丁寧に説明するので、D2Cで売上を上げていきたい方はぜひご一読ください。
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Contents
D2Cのブランディングとは?
結論からいうと、ブランディングとは、ブランドや商品ならではの価値やイメージを顧客に想起させることです。
具体的にいうと、「高級腕時計=ロレックス」のように、お客さん自身にブランドを想起してもらうための活動全般を指しています。
D2C事業では、ブランドや商品の世界観を広めて、あるジャンルで真っ先にイメージが上がるような存在を目指していく必要があります。
そうすると、商品を購買してもらいやすくなり売上を拡大していけるのです。
D2C事業にブランディングが必要な2つの理由
D2C事業にブランディングが必要な理由は以下の2点です。
- D2C事業への参入が増加して差別化が必要になりはじめたため
- 商品そのものではなく”ブランドストーリー”がより重要になったため
なぜブランディングが必要なのかもう少し掘り下げて説明します。
D2C事業への参入が増加して差別化が必要になりはじめたため
Shopifyなどを利用すればネットショップが手軽に開始できる時代。さまざまなD2C事業が立ち上がり競争が激化しています。
当然ですが、ライバルが増え競争が激しくなると無数の商品から選んでもらうための差別化が必要です。
D2C事業における差別化のポイントは、なんといってもブランドや商品の世界観。
「小柄な女性向けブランドといえばCOHINA!」のように、まずはじめにお客さんに想起してもらえるようなブランドになれば勝ち筋が見えてきます。
そのためには、ECサイトのデザインや店舗設計にこだわり抜き、顧客にイメージを植え付けるブランディングの考えが非常に重要です。
商品そのものではなく”ブランドストーリー”がより重要になったため
モノそのものではなく、その背景の”ブランドストーリー”がより重要になったのも大きな理由です。
例えば、自動車ブランドのNISSANは信じる道に勇気をもって踏み出そうというメッセージを「やっちゃえNISSAN」という標語とともにCMなどで発信。
こうした活動により「NISSANといえば挑戦者」というブランドイメージが顧客に共有されています。
こうなると、「信じる道を付き進みたい」「チャレンジ精神を忘れたくない」といったマインドを持っている人にとっては、NISSANの自動車がただの移動手段を超えて「自信を奮い立たせるモノ」となります。
そして、「毎朝NISSANに乗って出勤するとなんだか勇気がもらえそうだ」といった気持ちに繋がりNISSANを選んでくれるようになるのです。
自動車の機能ではなかなか差がつかない状況になっても、ブランドストーリーを共有し、価値観に共感してもらえれば顧客に選んでもらえます。
つまり、それなりに機能的な商品があふれている現代は、ブランドの世界観を顧客に知ってもらうブランディング活動が非常に重要だといえます。
D2C事業のブランディングによる3つの効果
D2C事業のブランディングによる効果は以下の3つです。
- ブランドへの愛着が増してリピーターが増加する
- 口コミが拡散されて集客アップが見込める
- 安売りせずとも商品が売れる
それぞれ重要なポイントなので解説します。
1:ブランドへの愛着が増してリピーターが増加する
ブランドへの愛着が増してリピーターが増加することが1つ目の効果です。
ブランディングに成功すると、ブランドや商品への愛着を持ってくれるユーザーが増加します。
愛着を持ってもらえるとリピーターになってもらえるので、売上増加も見込めます。
ではなぜ愛着を持ってもらえれば、リピーターに繋がるのでしょうか?
その理由は、ずばり自分を形成するアイデンティティの一部になるからです。
皆さんもなぜかなかなか捨てられないようなものを1つは持っているのではないでしょうか?
例えば”子供の頃から一緒に寝ているぬいぐるみ”などが該当すると思います。
それらは、長くの時間を一緒に過ごし、自分のアイデンティティを形成する要素となっているので、
簡単に捨てることができなくなるのです。
つまり、愛着を持ってもらえれば、手放しがたい”モノ”になれるので、自然にリピーターが増加するようになります。
2:口コミが拡散されて集客アップが見込める
口コミが拡散されて集客アップが見込めるのも重要な効果です。
人は自分が気に入ったものを他人にもシェアしたくなる習性があります。
例えば皆さんもInstagramで、食べて美味しかったご飯をついついシェアした経験があるのではないでしょうか。
ブランディングに成功し商品を気に入ってもらってファンが増えれば、そのファンがさらにお客さんを連れてきてくれるようになるのです。
こうなれば、集客に費用をかけなくても勝手にお客さんが集まるので、商品開発などができる余裕が生まれ、さらにファンを増やしていけます。
3:安売りせずとも商品が売れる
最後は安売りせずとも商品が売れるようになることです。
例えば、自然由来のシャンプーを販売するBOTANIST(ボタニスト)は他社製品と比較すると中価格帯であり、後発で市場に参入したにも関わらず大ヒットした商品として知られています。
大ヒットの理由は、社内のクリエイティブチームが作り上げた商品のボトルデザインに隠されています。
無駄なものを徹底的に除きシンプルで透明感があるデザインは、おしゃれ感度が高い人に注目され徐々に売上が拡大。
また、おしゃれ感度が高い人からの口コミも通じて「BOTANIST(ボタニスト)はイケてる」というイメージが世間にも徐々に浸透。
今では「頭を洗うための商品」という域を超えて、「ライフスタイルを豊かにするモノ」としての地位を得ています。
こうなると、「少し高いけどパッケージが洗練されているBOTANIST(ボタニスト)をお風呂に置いて気分を上げたい」といった気持ちになってもらうことができるので、価格競争から抜け出し大きな利益をあげることができるのです。
D2C事業のブランディングで成功するための4つの簡単手順
D2C事業のブランディングで成功するための4つのステップは以下です。
- 自社のターゲット顧客を定義する
- 競合のD2C事業を分析する
- ECサイト・実店舗の顧客体験を向上させる
- SNSや広告で商品価値を発信する
ポイントを押さえるだけなら意外と簡単。それぞれについて解説します。
1:自社のターゲット顧客を定義する
まずは自社のターゲット顧客を定義するのが重要です。
なぜなら、誰に商品を届けたいか定義しないかぎり、どういう店舗・ECサイトのデザインにするのか、どんなコンテンツで訴求していくべきか決められないからです。
例えば、男性向けのアパレルD2C事業を運営しているとします。
この場合、店舗の壁紙をピンクにして、かわいい装飾などをしてしまうとお店に入ったときに「女性向けのショップなのかな?」と思ってすぐに退店してしまう人も出るはずです。
この例は極端ですが、まずは誰が自社のターゲットなのかをきちんと定義しないとブランドの世界観を作れません。
必ず最初に自社のメインターゲットを定義し、彼らに寄り添ったデザインにして、ブランドの世界観を植え付けていく必要があります。
2:競合のD2C事業を分析する
競合のD2C事業を分析するも重要です。
具体的には、同じような商品を販売していて既に人気のD2C事業をまずはピックアップします。
例えば、女性向けアパレル事業を運営しているのであればCOHINAなどを参考にしましょう。
COHINAのWEBサイトやECサイトを分析して、「どんなメッセージを伝えているのか?」「サイトのデザインや導線はどうなっているのか?」などを1つずつ確認していきます。
また、Instagramのライブ配信などを実際に覗くと顧客とのコミュニケーションの取り方も勉強できます。
分析で自社との違いが明らかになったら、はじめは徹底的に成功企業の真似をしましょう。
なぜなら、成功企業の戦術は既に上手くいくパターンとして結果が出ており、実際に売上が上がっているからです。
真似して顧客が増えてくれば、オリジナリティーを追求していけばいいので、まずは分析した内容を自社の事業に取り入れるところから始めましょう。
3:ECサイト・実店舗の顧客体験を向上させる
ECサイト・実店舗の顧客体験を向上させることも欠かせません。
例えば、ECサイトの場合、顧客がどのステップで使いにくさを感じて離脱しているのか把握し、改善していく必要があります。
そのためには、ECサイトの購買行動を以下の6ステップに分けると分析しやすいです。
- サイトに訪れる
- 商品を探す
- 商品をカートに入れる
- 支払方法を決定する
- 配送方法を決定する
- 購入する
例えば、商品をカートに入れるところで離脱が多い場合、「カートに入れるボタンの配置が悪いのでは?」などの仮説を持てるようになり、改善の打ち手も明確になります。
実店舗の場合も同じで、どういったタイミングで顧客が退店しているのか観察するのが重要です。
じっくり観察すると、例えば「店員から話しかけた場合退店する確率が高いのでは?」といった仮説が浮かび、解決方法が浮かびやすくなります。
顧客がストレスを感じているポイントを分析し、心地よく買い物ができる店舗・ECサイトに育てることで、他の誰かにもすすめてみたいブランドになるのです。
4:SNSや広告で商品価値を発信する
最後のステップはSNSや広告で商品価値を発信するです。
メインターゲットが決まり、競合のいいところを取り入れ、顧客体験を向上できればいよいよ最後は発信です。
方法は様々ですが、まずはSNSアカウントを開設して運用していくのが費用もかからないのでおすすめです。
例えば、Instagramを活用し画像や動画で自社の商品を宣伝してみましょう。
結果がすぐに出るわけではないですが、コツコツ運用してフォロワーが増えてくれば無料でPRできる強力なツールになります。
また、顧客と直接コミュニケーションを取ることもできるので、自社のメインターゲットが本当に欲しがっているものを知り、さらなる商品開発に活かしていくこともできます。
ただし、ブランドの世界観や商品コンセプトとずれた投稿をしてしまうと、「このブランドあんまり好みじゃないかも・・・」と顧客離反に繋がるリスクもあります。
そのため、投稿の際は最新の注意を払ってブランドの世界観と一貫性があるかを検証しましょう。
顧客の理解を深めることがD2Cブランディングの第1歩!
今回はD2C事業のブランディングについて、ブランディングが必要な理由から、ブランディングの効果、ブランディングの具体的な手順についてお伝えしました。
振り返りですが、D2C事業にブランディングが必要な理由は以下の2点です。
- D2C事業への参入が増加して差別化が必要になりはじめたため
- 商品そのものではなく”ブランドストーリー”がより重要になったため
競争環境や顧客の志向が変化したためブランディングが求められているのでした。
また、D2C事業のブランディングによる効果は以下の3つです。
- ブランドへの愛着が増してリピーターが増加する
- 口コミが拡散されて集客アップが見込める
- 安売りせずとも商品が売れる
ブランディングによって集客力がアップし、利益率が大幅に改善されます。
そして、実際にブランディングを行うときは、以下の4ステップで進めるようにしてください。
- 自社のターゲット顧客を定義する
- 競合のD2C事業を分析する
- ECサイト・実店舗の顧客体験を向上させる
- SNSや広告で商品価値を発信する
また、ネット通販・D2C事業が上手く軌道に乗り、注文の増加・売上の拡大・ブランド認知度が向上してくると、不正注文も増えてきます。
不正注文とは、クレジットカードを不正利用した商品の購入や悪質な転売目的での商品購入などのことを指します。
これらが起こると自社の利益が減ったり、商品は発送しているのに売り上げになっていない..なんてことになってしまいます。
すでに月100件以上の注文があったり、不正注文の管理の仕方を知らない事業者などは以下の記事を参考に不正注文対策をしましょう。