Shopifyなどの便利なツールの登場により、参入障壁が低くなりどんどん競争が激化するD2C業界。
厳しい競争環境で自社の商品を買ってもらうためにはマーケティングの考え方が非常に重要です。
そんな状況下のため、今回の記事ではマーケティングが必要な理由から具体的な取り組み方、成功のポイントまで網羅的に解説します。
最後まで読んでいただければ「マーケティングって意外に簡単に取り組めるかも」と思えるはずです。
できるだけ重要なポイントに絞って解説するので、効率よく売上を拡大していきたい方はぜひご一読ください。
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Contents
マーケティングとは?
結論からいうと、マーケティングとは、商品が勝手に売れる仕組みを作ることです。
「他の商品と比べてお買い得!」と思えるような価格帯に設定したり、「この商品はなにか良さそう!」とつい手に取ってしまうようなデザインに仕上げるような活動を指しています。
「ブランディングと何が違うのかよくわからない」と思う方もいると思います。
ブランディングとは「高級時計といえばロレックスでしょ!」のように、お客さん自身にブランドを想起してもらうための活動全般を指しています。
つまり、顧客がつい手を伸ばしたくなる仕組みを作ることがマーケティング、顧客の頭にブランドイメージを植え付けるのがブランディングです。
D2C事業では、マーケティングのノウハウを持つ小売企業を頼れないので、製造者が自分自身で売れる仕組みを作る必要があります。
D2C事業にマーケティングの考え方が重要な2つの理由
D2C事業にマーケティングが必要な理由は大きく2つあります。
- 限られた時間、労力で売上アップする必要があるため
- 自力でお客様を見つける必要があるため
それぞれ重要なポイントなので丁寧に解説します。
限られた時間、労力で売上アップする必要があるため
1つ目の理由が限られた時間、労力で売上アップする必要があるためです。
企業が保有するお金や人材などの経営資源には限りがあります。
もし仮にお金を無制限に使えるとしたら、テレビCMを打ち続けて全ての人に商品を届ければいいでしょう。
しかし、現実はそうではないので、限られた資源を最大限活用するためにマーケティングの考え方が欠かせません。
マーケティング活動によって「誰に・何を・どうやって・どこから」届けるのか考えながら、売上を最大化していく必要があります。
自力でお客様を見つける必要があるため
2つ目の理由は自力でお客様を見つける必要があるためです。
D2C事業は、小売企業をはさまないため、製造者自身が商品を消費者へ直接届ける必要があります。
一般的な小売販売であれば、商品を卸したあとは小売店に任せておけばよく、販売に関するノウハウは不要でした。
しかし、D2Cでは自社で消費者を集め、販売していく必要があるため、どこにお客さんがいるのか分析しアプローチしていく必要があります。
つまり、マーケティングのノウハウを持っていることが必須になるのです。
売上を拡大させるマーケティングを行う6つのポイント
では実際にどうやってマーケティングを実施すればよいのでしょうか。
ずばり、6つのステップで進めていくのがポイントです。
- 自社のターゲット顧客を定義する
- 競合企業を分析してライバルの動向を把握する
- 市場環境を分析して成長率やリスクを押さえておく
- ユーザーインタビューを実施して深く顧客を理解する
- ECサイト・実店舗でブランドの世界観を表現する
- 販促・プロモーション活動を行う
それぞれ大事な点に絞って説明します。
1:自社のターゲット顧客を定義する
まずは自社のターゲット顧客を定義するのが重要です。
なぜなら、誰に商品を届けたいか定義しないかぎり、どういう店舗・ECサイトのデザインにするのか、どんなコンテンツで訴求していくべきか決めることができないからです。
例えば、シニア男性向けのアパレルD2C事業を運営しているとします。
この場合、広告を出稿するターゲットは当然シニア男性になりますが、もし顧客をきちんと定義していないと若年層や女性にも広告を打ってしまう可能性があります。
そうなれば、販促費用が無駄になってしまい売上を効率よく拡大できません。
必ず最初に「誰に届けたいのか」を明確に定義しておく必要があります。
2:競合企業を分析してライバルの動向を把握する
競合企業を分析してライバルの動向を把握することも重要です。
具体的には、同じ業界に属している人気のD2C事業をピックアップします。
その事業の店舗やECサイトを分析して、「どんな商品を販売しているのか?」「どういう商品陳列にしているのか?」などを確認していきます。
分析で自社との違いが明らかになったら、はじめは徹底的に成功企業の真似をするのが得策です。
なぜなら、トップ企業の戦術は既に正攻法として検証できているからです。
成功企業のいいところを徐々に取り入れて売上が拡大してきたら、オリジナリティーを追求していくのがおすすめです。
3:市場環境を分析して成長率やリスクを押さえておく
市場環境を分析して成長率やリスクを押さえておくのも非常に重要です。
例えば、自動車業界では世界的な二酸化炭素削減に向けた、ガソリン車から電気自動車へのシフトチェンジに大きく影響を受けています。
世界的にこうした潮流、ムーブメントができると既存の方法では受け入れてもらえず、戦略を変更せざるを得なくなります。
実際、自動車最大手のTOYOTAは2025年にはガソリン車の製造を廃止しEV自動車にシフトすると宣言しています。
このようにどれだけ既存事業が上手くいっていても、大きなムーブメントによって戦略変更を余儀なくされることはあるため、常に市場動向を追いリスクを把握しておくことが非常に重要。
また、SPEEDAなどを利用して市場の規模感や同一商品の平均価格などを定量的に調査し、どれだけ売上が上げられる見込みかシュミレーションしておくことも大切です。
さらに、予算に余裕があればマクロミルなどの調査会社に依頼し、自社のメインターゲット・ペルソナになりうる消費者がどれくらいいるのか定量的に確認するのも有効です。
市場とターゲットの規模感がつかめるので自社の戦略を立てやすくなります。
4:ユーザーインタビューを実施して深く顧客を理解する
ユーザーインタビューを実施して深く顧客を理解するのも重要です。
商品の評価は実際にお客さんが使ってくれるまでわからないものです。
そのため、商品を実際に使ってくれた人や見込み客にインタビューを実施するのが有効。
例えば、商品を使ってくれた人に「XX社の製品とどちらがいいですか?」「いくらだったら買いますか?」「どこが改善ポイントですか?」といった質問をすれば貴重な意見が得られます。
商品の改善ポイントや、最適な価格設定などを把握できるので、売上を拡大したい場合は試してみてください。
5:ECサイト・実店舗でブランドの世界観を表現する
ECサイト・実店舗でブランドの世界観を表現することも欠かせません。
例えば、男性向けのアパレルD2C事業を展開しているとします。
その店舗の壁紙がピンクできらきらした装飾がされていたら男性は退店してしまうでしょう。
なぜなら、「この店舗は女性向けなんだろうな」と思ってしまうからです。
この例は極端ではありますが、ファンを増やすことが非常に重要なD2C事業では細部までこだわってブランドの世界観を表現するのが特に重要です。
ブランドの世界観を表現するのが得意な企業としては、D2Cの先駆けであり、世界的な企業でもあるAppleが挙げられます。
まず、第一にAppleが販売するiPhoneやiPad、Macといった製品はどれもシンプルながら洗練されたデザインです。
また、販売場所であるAppleストアの店内は無駄な装飾をすべて削ぎ落とした空間に仕上がっており、Appleというブランドの世界観・こだわりが感じられます。
さらに、プロモーション活動の一環として配信しているCMも映画のようなおしゃれな映像でありながら、伝えるべきことにフォーカスした無駄のない作りになっています。
Appleのように自社のブランドの世界観とECサイトや店舗の設計、プロモーションのコンセプトなどを一致させることでファンが育ち、人気のD2C事業・ブランドになるのです。
6:販促・プロモーション活動を行う
最後のステップは販促・プロモーション活動を行うです。
メインターゲットが決まり、競合のいいところを取り入れ、顧客体験を向上できればいよいよ最後は販促・プロモーション活動です。
方法は様々ですが、まずはSNSやブログアカウントを開設して運用していくのが費用もかからないのでおすすめです。
例えば、ブログの場合、コツコツ運用してSEOの上位に食い込めればECサイトへの流入を期待できます。
また、販促費に余裕がある場合は広告を出稿してみて認知を拡大するのも1つの手です。
良い商品を作るだけじゃ売上は上がりません。
必ず商品をお客さんに届ける販促・プロモーション活動に取り組む必要があります。
D2C事業のマーケティングを成功させるための3つのポイント
最後にD2C事業のマーケティングを成功させるポイントを3つ紹介します。
- 顧客属性や販売履歴データを活用する
- 施策の効果検証を行う
- SNSを活用して顧客と直接コミュニケーションを取る
データ活用、効果検証、顧客とのコミュニケーションが鍵なのでそれぞれ解説します。
1:顧客属性や販売履歴データを活用する
まず顧客属性や販売履歴データを活用することが重要です。
例えばECサイトを運営している場合、「どんなお客さんが何を買ってくれているか」の購買データが蓄積されます。
この購買データを分析すると、どの人にどんな商品が刺さるのか根拠をもって把握できるのです。
そうすれば、施策を実施する際に「低価格帯の商品が女性に売れているので訴求してみよう」とか、「低価格帯の商品開発に力を入れよう」といったアイデアが浮かびます。
結果的に、刺さりそうなターゲットに効率よく訴求できるので資源を無駄遣いせずに売上を拡大できるようになります。
2:施策の効果検証を行う
施策の効果検証を行うのも重要です。
例えば一部の女性向けに割引クーポンを配布したとします。
この場合、割引クーポンを配布した人と配布しなかった人で購買率や平均購買回数を比較すれば、施策の効果を検証できます。
クーポンを配布した人の方が購買率や平均購買回数が高かった場合、施策の効果があったといえるので継続して実施すればよいです。
逆に大きな差がなく効果がなかった場合は打ち切ってしまい、他の施策を検討する必要があります。
このように、施策を実施してその効果を検証しておくことで筋の良い施策のみが最終的に残るため、効率よく売上を拡大可能です。
3:SNSを活用して顧客と直接コミュニケーションを取る
SNSを活用して顧客と直接コミュニケーションを取ることも重要です。
なぜなら、顧客と直接コミュニケーションを取れれば、自社のメインターゲットが本当に欲しがっているものを知り、さらなる商品開発に活かしていけるからです。
例えば、アパレル事業を運営しているCOHINAではInstagramのライブ配信を365日実施しているので、常に顧客の考えを把握できています。
売れるものがわからなければ顧客に直接何が欲しいか聞くのが手っ取り早いです。
そのためにはSNSの活用が非常に重要なのでぜひ活用してみてください。
D2Cマーケティングではまず顧客を理解することが第一!
今回はD2C事業のマーケティングについて、マーケティングが必要な理由から、マーケティングの具体的な手順、成功するためのポイントについてお伝えしました。
振り返りですが、D2C事業にマーケティングが必要な理由は以下の2点です。
- 限られた時間、労力で売上アップする必要があるため
- 自力でお客様を見つける必要があるため
経営資源が限られていること、自社で顧客を見つける必要があることがマーケティングが必要な理由でした。
また、マーケティングは以下の6つのステップで進めていくのが良いことも紹介しました。
- 自社のターゲット顧客を定義する
- 競合企業を分析してライバルの動向を把握する
- 市場環境を分析して成長率やリスクを押さえておく
- ユーザーインタビューを実施して深く顧客を理解する
- ECサイト・実店舗でブランドの世界観を表現する
- 販促・プロモーション活動を行う
そして、実際にマーケティングを行うときは、以下のポイントを意識しましょう。
- 顧客属性や販売履歴データを活用する
- 施策の効果検証を行う
- SNSを活用して顧客と直接コミュニケーションを取る
ポイントを押さえれば効率的に売上を拡大していくことができます。
また、ネット通販・D2C事業が上手く軌道に乗り、注文の増加・売上の拡大・ブランド認知度が向上してくると、不正注文も増えてきます。
不正注文とは、クレジットカードを不正利用した商品の購入や悪質な転売目的での商品購入などのことを指します。
これらが起こると自社の利益が減ったり、商品は発送しているのに売り上げになっていない..なんてことになってしまいます。
すでに月100件以上の注文があったり、不正注文の管理の仕方を知らない事業者などは以下の記事を参考に不正注文対策をしましょう。